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第128話 ∥

アランが居るであろう部屋まで来ると、中から話し声が聞こえた。 ………相手はラジール? 俺は立ち聞きするのも悪いと思って出直そうとすると、中からアランの笑い声が聞こえてきた。 アランがラジールと話してて笑うなんて…… そう思って、俺は思わず聞こえてくる会話に耳をすました。 アランがラジールを嫌っていたことは気付いていた。 嫌悪ではなく、どちらかというと疎ましく思ってるみたいだった。 それでも歩み寄ろうとはしてたみたいだけど、こんな風に笑って話すなんて今までなかった。 それがこんな急に仲良くなるものなんだろうか。 そんな事を考えていると、突然扉が開けられてアランが顔を出した。 「……ぁ…」 俺は驚いて、一瞬固まってしまった。 「ディラント様、何をされているのですか?」 扉から顔を出したアランがそう聞いてくる。 「……えと…」 そうだった。 アランは気配に敏感で、扉をノックしなくても分かるんだった。 立ち聞きしてるのがバレて気まずい俺は、どう説明したらいいのか分からなくて焦っているとアランがクスッと笑った。 「どうぞ、入ってください」 焦っている俺を、アランが部屋の中に招き入れてくれた。 俺は気まずさを残しつつ、部屋に入った。 部屋の中にはラジールも居て、わざわざ立ち上がって俺を迎えてくれた。 アランがラジールの横に並んだ。 お互いに目で合図を送る。 「「申し訳ありませんでした」」 そう言って突然二人が頭を下げてきた。 俺はその状況に着いていけなかった。

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