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第132話 ∥

アランとラジールが胸に手を当てて俺の前に跪いた。 これは、忠誠の姿勢。 忠誠の姿勢は従者や騎士が、生涯仕える主を見つけたときに行う姿勢の事だ。 従者は胸に手を当てて、騎士は剣を立てる。 身も心も捧げるという意思表示。 俺は主従関係なんて求めていない。 でも忠誠を示している二人を無下には出来ない。 俺は小さく息を吐いた。 「二人を俺の従者だと認めます」 そう言って二人の肩に手を置いた。 二人が顔を上げる。 「これから、よろしくお願いします」 そう言って俺は二人に笑顔を見せた。 ・・・・・・・・・ 「……そうか、あの二人が忠誠を示したか」 二人の部屋を出た後、俺は伯爵様の所に直行してさっきの出来事を報告した。 「ディーは二人を受け入れたのかい?」 「はい。 ……二人の意思を無視出来なかったので」 そう言うと伯爵様がクスッと笑った。 「二人を認めたならその証を与えなければいけないね」 「……証?」 伯爵様の話では、主従関係を結んだ相手にはその証として主の色の入った物を贈るらしい。 「ディーの場合は瞳の色が良いだろう」 俺が悩んでいると、伯爵様がそう言う。 「………瞳の色ですか?」 「ディーの瞳は珍しいからね。その色を贈られた二人は誉れだろうね」 そう言って伯爵様が笑う。 俺はそっと自分の目に触れた。 瞳の色の物か…… 何かあるかな……少し探してみようか。

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