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第134話 メインステージ

俺がディラントになってから7年が経った。 俺は14、シャロウネは15歳になっていた。 シャロウネはこの7年で『イノラバ』のシャロウネのスチルと同じ姿に成長した。 元々美少女だったけど、成長したシャロウネは誰が見ても美しいと言うほど立派な女性に成長した。 俺も相変わらずで、7年経った今でもディラントと俺が同一人物だとは思えなかった。 今でもディラントを"演じている"という感覚は消えないけど、それでもシャロウネや伯爵様たちと過ごす"今"がとても楽しかった。 「あ、居た!ディラント様!」 俺がルオとじゃれていると、遠くからアランとラジールが駆け寄ってきた。 「アラン、ラジール」 「またルオと鍛練してたんですか?」 アランが呆れ気味に言う。 ルオは5年前にラジールが連れてきた魔獣だ。 最初は子猫ほどの大きさだったけど、5年経った今では体長が俺の腰上くらいまである。 ルオはすばしっこく機動力もある為、体術の訓練にはもってこいの相手だった。 その為、大きくなったルオとの訓練が俺の新たな日課になっていた。 まぁ、ルオに取っては遊んでいるつもりなんだろうけど。 「ディラント様、旦那様が……」 ラジールが俺に近寄ろうとすると、ルオが間に入ってラジールの行く手を阻んだ。 「……ルオ、何のつもりだ?」 そうラジールが言った瞬間、ルオとラジールの間にバチッと火花が散った気がした。 ……なんでルオはラジールの事を目の敵にしてるのかな? でもまぁ、お互いに怪我しない程度にじゃれてるだけだから放っておいてもいいか。 「それで、何の用だったんですか?」 俺はじゃれ合うルオとラジールを放っておいて、アランに尋ねた。 「旦那様がお呼びです」 「分かりました、すぐ行きます」 アランにそう返事をして、じゃれ合ってるルオとラジールに声を掛ける。 俺の呼び掛けにじゃれ合いを止めたけど、ルオとラジールはこっちに歩いてくる最中も睨み合っていた。

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