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第136話 ∥

「……え、俺も学院に通うんですか?」 シャロウネが学院に通うことは分かっていた、でも俺まで通うなんて予想外だ。 「陛下の薦めでね。ディーは優秀だから、試験を受けさせてみてはと仰っていたんだよ」 「…………陛下の薦め」 エクレール学院は入学自体は誰でも出来る。 ただし、入学前にクラス決めの試験がある。 クラスは全部で5クラス。 A~Dクラス、そして最も優秀なSクラスがある。 試験をして、成績順にこの5つのクラスに振り分けられる。 つまり、試験というのはあくまでクラスを決める為であって、学院に入学するとこは最初から決まっている。 「………ちなみに、試験っていつなんですか?」 「三ヶ月後だね」 それを聞いた俺は、大きくため息をついた。 「……父様、俺は試験対策を何もしていません」 「ん?ディーなら大丈夫だろう?」 伯爵様がさも当然のように言う。 エクレール学院で上位クラスになることは、貴族にとって一つのステータスになっていた。 Sクラスになれば、それだけで一目おかれる。 その為、貴族の子供たちは何年も前から試験の準備をしていた。 俺はと言うと、全くと言っていい程何もしていない。 なのにどうしたら伯爵様は三ヶ月たらず勉強したくらいで、国一の学院の試験を大丈夫だと言えるのだろう。 そう思って、俺は額に手を当ててため息をついた。 そもそも『陛下の薦め』ってことは、提案しているようで王命に等しい。 当然断ることは出来ない。 俺が学院に入学することは決定事項だ。 なら、やるだけやってみるしかないか。 「……分かりました。出来るだけ努力してみます」 「二人で協力して頑張りなさい」 そう言って伯爵様は笑う。 あぁ、気が重い。 そう思って、俺は何度目かのため息をついた。

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