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第144話 ∥
(シャロウネside)
出発してしばらく、ディーの顔色が悪くなってきた。
ディーは馬車に乗り慣れていないせいか、長時間乗る馬車に酔ってしまったみたいだった。
横になった方が楽ではないかと思ってディーを横にすると、ディーは眠ってしまった。
「お嬢様、そろそろ昼食のお時間ですが……」
リーナがそう耳打ちしてくる。
「もうそんな時間なのですね」
「次の街まではもう少し掛かるとのことで、少し先の草原で食事をしてはとの事です」
『どうしましょう』とリーナが聞いてくる。
「そうですね……そうしましょうか」
私の答えを聞いて、リーナが護衛の騎士たちにその旨を伝えた。
「ディラント様は……」
リーナが眠っているディーに視線を向ける。
私もディーに視線を向けた。
「ディーはそのまま寝かせてあげましょう。起きたときに食べられそうなら、その時に用意をしてあげてください」
「畏まりました」
そう言ってリーナは頭を下げた。
しばらくして草原に到着した。
騎士たちが周りの安全を確認する。
安全が確認出来ると、リーナとラジールがテーブルと日除けを準備した。
それが終わると、リーナがテーブルの上に準備してあった料理を並べていった。
「お嬢様、準備が整いました。こちらへどうぞ」
馬車で待っていると、準備を終えたリーナが呼びに来た。
「分かりましたわ。ではアラン、ディーの事を宜しくお願いしますね」
ディーの傍に居るアランに向けて言うとアランが微笑む。
「お任せください」
そう言って胸に手を当てて礼をした。
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