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第145話 ∥
俺はアランが一緒にシャロウネの元に向かった。
馬車を下りると草原が広がっていて、風がそよぐ。
……風が気持ちいい。
俺は解放感から、大きく深呼吸をした。
深呼吸をした後、シャロウネを探して辺りを見回した。
……仕方ないとはいえ、物々しいな。
俺が見たのは、リーナさんとラジール、他に3人の騎士たちに囲まれて食事をするシャロウネの姿だった。
俺はその光景に思わず苦笑を漏らした。
旅をしていると魔物や盗賊なんかに遭遇したりする。
その為、護衛が周りを警戒する。
こうした開けた場所で食事をするのも防犯の一環だ。
こういう場所は隠れる所がない為、盗賊が奇襲を掛けるには不向き。
魔物が襲ってきても遠目で目視出来る為、対策が取りやすい。
それでいて護衛対象が気分転換も出来るなど、一石二鳥だったりする。
「ディラント様!」
そんな事を考えながらシャロウネたちを眺めていると、俺に気付いたラジールが走ってきた。
「ディラント様、もう大丈夫ですか?」
そう言って駆け寄ってくる。
「はい、もう大丈夫です。ご心配お掛けしました」
俺がそう言うと、ラジールがまじまじと見てきた。
その後何か納得したのか、ニコッと微笑んだ。
「何か食べます?」
「いえ、飲み物だけお願い出来ますか」
「分かりました。すぐに準備するんで座って待っててください」
そう言ってラジールはシャロウネが座ってる場所を指差した。
俺はそれに従ってシャロウネの元に向かった。
シャロウネが俺に気付いて微笑む。
俺もそんなシャロウネに微笑み返した。
アランに促されてシャロウネの横に座った。
「ディー、気分はどうですか?」
「だいぶ良くなりましたよ、もう大丈夫です」
そう言うとシャロウネがじっと見てきた。
その後納得したように小さく頷いた。
……さっきのラジールもそうだけど、なんでみんな俺を見て納得したように頷くんだ?
そう思って首を傾げていると、シャロウネに笑われた。
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