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第150話 ∥
学院都市に着いて3日目、ついに試験が始まった。
俺たちは朝、支度をするとエクレール学院に向かった。
「いよいよですわ!絶対に上位を取ってみますわ!」
馬車の中でシャロウネが拳を握って気合いを入れる。
「あれだけ頑張ったんです、シャーネなら大丈夫ですよ」
「頑張りますわ!」
そう言ってシャロウネはまた拳を握った。
………気合いが空回りしなきゃ良いけど。
俺はシャロウネの異様な気合いの入れように少し心配になった。
エクレール学院の試験は3日間。
1日目に座学、2日目に礼儀作法と男子は武術、3日目に魔法。
座学と実技の総合得点で順位が決まる。
その順位でクラスが決まるから、試験を受ける人たちはそれ相応の気合いが入る。
皆が狙ってるのはSクラス。
試験の上位10位までが入れるクラスだ。
貴族内では、令嬢令息がSクラスに入ることはこれ以上無い誉れとされていて、Sクラスに入れば一目置かれるという。
その為、貴族の令嬢令息はこのクラスに入る為にかなり努力をしているらしい。
そんな事を考えていると学院の正門前に到着した。
エクレール学院は学院都市の中央にある。
正門の内側には校舎と学生寮が存在する。
俺たちを乗せた馬車は正門の門番に許可を貰うと、そのまま敷地内に入っていった。
正門から校舎まで真っ直ぐな道が続いている。
その横には噴水や花壇、ベンチなども置いてある。
俺はその景色を見て、ふと頭の中に映像が浮かんだ。
……この景色、イノラバのオープニングだ。
確かゲームでは、正門から入ってこの真っ直ぐな道を進み、校舎に入る手前でタイトルコールされた筈だ。
ここがイノラバのメインストーリーの舞台。
ここでヒロインと攻略対象たちの恋愛物語が繰り広げられる。
「……ィー……」
かといって、今の現状はイノラバのシナリオとはかなり掛け離れてる。
これからどうなるのか………
「……ディー!」
突然シャロウネに呼ばれて体が揺れた。
「どうしましたの、ボーっとして」
シャロウネが心配そうに覗き込んできた。
「え、あ……すいません」
そう言うとシャロウネがクスクスと笑う。
「もしかしてディーも緊張してるのですか?」
「………そうですね」
別の意味で緊張してるとは言えなくて、俺は笑って誤魔化した。
「心配要りませんわ。ディーなら上位は確定ですから」
そう言ってシャロウネは笑う。
本当その確信はどこからくるのかと思うけど、今は試験に集中しようと決めた。
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