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第152話 ∥

(ロンドside) 「リオ、顔がにやけてるぞ」 俺は隣でニヤニヤと笑みを浮かべるリオに冷たい視線を送る。 「仕方ないだろう、漸くディラントに会えたんだ」 そう言うリオの目線の先にはディラントが居た。 ディラント・グロウ 5年前のデビュタントのパーティーの時に、いつものようにふざけて遊んでいたリオに突っ掛かってきた奴だ。 あの時は俺もあの場に居た。 今まで王子であるリオが何しても諫める者なんて居なかった。 だから俺も、あの時は驚いて動けなかった。 その後リオは真面目に勉学に励むようになった。 どんな心境の変化があったのか、俺は知らない。 でもその要因はディラントにあるようだった。 そのお陰か、リオは11歳の誕生パーティーで立太子した。 それは俺も喜ばしい事だと思う。 でもそれがディラントのお陰だと思うとちょっと解せない。 俺は前方に座るディラントを見た。 ディラントの入学を推薦したと聞いたリオは明らかに浮かれていた。 試験会場でディラントに会えるかもしれないと毎回口にしていた。 ディラントは確かに綺麗な容姿をしている。 特にあのアイスグリーンの瞳は人を惹き付ける。 でもそれだけだ。 リオが何故あそこまでディラントに拘るのか解らない。 おまけに陛下や父上までディラントの事を気に入っている様だった。 ディラントにはそれ程の魅力があるのか、俺には到底理解出来ないな。

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