156 / 226
第153話 ∥
……びっくりしたぁ。
まさかリオネスに会うとは思わなかった。
いや王族とはいえ、リオネスも試験を受けるから会う可能性はあったんだけど、こんな急に会うとは思ってもみなかった。
俺は気持ちを落ち着かせようと軽く深呼吸をした。
それに……
俺はチラッと後方に座るリオネスたちに視線を向けた。
俺が視線を向けたのはリオネスの隣に座る人。
こうして見ると、父親のラウスさんにそっくりだな。
……さっきすれ違った時のあの視線、あれは明らかに『敵意』だよね。
ロンドとまともに会ったのは今日が初めてだった筈だけど、俺…ロンドに嫌われてるのかな。
そんな事を考えていると、試験官が教室に入ってきた。
その瞬間、皆の話し声がピタッと止んだ。
試験官が今日の日程を説明する。
試験を受ける人たちは真剣な面持ちで耳を傾けていた。
………すごいな、皆の気合いが伝わってくる。
この感じ、高校の入試みたいだ。
そう思ったら、懐かしさで口元が緩んだ。
一通り説明が終わると、問題用紙が配られる。
全員に行き渡ったことを確認した試験官が『始め!』と声を上げると、皆が一斉に問題を解き始めた。
その光景はますます高校入試みたいだった。
座学の試験が終わって、俺は早々に教室を出た。
教室を出る時、リオネスが言いたそうにしていたけど、試験が終わると同時にリオネスが他の人たちに囲まれてしまい、結局話すことが出来なかった。
でもあまりリオネスとはあまり関わるつもりは無いから、これで良かったのかもしれない。
そう思って、俺はシャロウネたちとの待ち合わせ場所の校舎入口に向かった。
ともだちにシェアしよう!