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第154話 ∥

(シャロウネside) ディーとの集合場所になってる校舎入口でリーナやアランたちと待っていると、奥の方からディーが歩いてくるのが見えた。 「ディー!」 ディーを見つけた私は大きく手を振る。 その瞬間、リーナにはしたないと怒られた。 一緒に居たアランとラジールはディーを見た瞬間、一目散にディーに駆け寄っていた。 ディーに駆け寄ったアランとラジールがディーに労いの言葉を掛ける。 ディーもそれに答えていた。 私もリーナと一緒にディーたちと合流した。 皆で馬車まで歩く。 「ディー、座学はいかがでしたか?」 そう聞くと、ディーは試験内容を思い出すように考える。 「……出来てはいると思います」 そう答えるディーに、微かな違和感を感じた。 「何かありましたの?」 そう聞くと、ディーが驚いた表情を見せた。 「え?」 「今朝と様子が違ったので、試験で何かあったのではと……」 そう言うと、ディーは『あぁ』と声を出す。 「何かあった訳ではないんですけど、王太子殿下とお会いしたので、ちょっと思うところがあって……」 そう言ってディーは苦笑を漏らす。 「王太子殿下はディーと同じ教室だったのですね」 「王族といえど、このエクレール学院では特別扱いはしません。王太子殿下も一般生徒と共に試験を受けますからお会いしても不思議ではありませんね」 そうリーナが言う。 王太子殿下とディーは私のデビュタントで出会っている。 でもそれはあまり良い出会いでは無かった。 そのパーティー以降、ディーは一度も社交界に顔を出してはいない。 パーティーは大抵が家名で招待される。 その場合、家の代表が出席すれば問題ない。 今までのパーティーはお父様と私が出席していたから、それを理由にディーは出席しなかった。 私たちもディーがそういう場が苦手なのは分かっていたし、お父様も声は掛けるものの無理に連れていこうとはしなかった。 つまり、以降ディーと王太子殿下が顔を合わせる機会が無かった。 それにあの時の事も国王陛下が非を認めて謝罪は受けたみたいだけど、王太子殿下本人からの謝罪は無い。 そんな状態で突然会うのは、ディーも気まずいのでしょう。 「殿下に何か言われたのですか?」 「いや、少し挨拶した程度ですよ」 『大丈夫ですよ』とディーは言う。 ディーの『大丈夫』程、信用出来ないものはないのですけど…… 私はディーの顔をじっと見た。 そんな私にディーが首を傾げる。 ……まぁ、私が口を挟む事ではありませんし、今はディーの『大丈夫』を信じる他ありませんわね。 そそう思って、私は息を吐いた。 馬車を停めていた場所に到着して、馬車に乗り込もうとした時、 「ディラント!」 後方でディーを呼ぶ声が聞こえた。

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