158 / 226
第155話 友人
名前を呼ばれて振り向くと、リオネスとロンドが居た。
「……ディラント、少し話を良いだろうか」
リオネスが少し不安気に聞いてくる。
俺には断る理由が無かった。
「分かりました」
俺がそう言うと、不安気だったリオネスの表情が明るくなる。
「シャーネ、少し殿下と話をしてきます」
シャロウネに向いてそう言うと、シャロウネが頷く。
「シャロウネ嬢、すまないが少しの間ディラントを借りる」
リオネスがそう言うと、シャロウネは頭を下げた。
俺とリオネスは少し離れたベンチまで移動する。
「ロンド、ディラントと二人で話をしたい。ロンドは外してくれるか」
リオネスが後ろを着いてくるロンドとそう言う。
「なりません!二人きりなど、殿下に何かあっては……」
「ディラントが私に害を加えることはない」
リオネスはロンドの『下がっていろ』と少し強めに言う。
「………解りました」
ロンドは不服そうに答える。
ロンドは去り際に俺を睨んでいった。
……これは、また更にロンドに嫌われたかな。
そう思いながら、俺はロンドを見送った。
ベンチに着くと座るように指示される。
それに従うと、リオネスが俺の前に立った。
俺はその状況に焦った。
下の者が座って王族が立ってるなんて有ってはならない。
俺が立とうとすると、リオネスに止められた。
異様な光景だと思いつつ、俺はリオネスに従った。
「すまなかった」
俺がベンチに座って落ち着くと、次の瞬間リオネスがそう言って頭を下げた。
それには俺も驚いた。
「殿下、頭を上げてください!」
頭を下げるリオネスを慌てて戻そうとする。
「5年前の事、ずっと謝りたかった」
そう言うリオネスに、俺は出し掛けた手を止めた。
5年前……
もしかして、シャロウネのデビュタントの時の事を言ってるのか。
………全く。
陛下といい、簡単に下に頭を下げすぎなんじゃないのか。
でも……だからこそ、好感が持てる。
そう思うと、自然と笑みが溢れた。
「殿下、頭を上げてください」
そう言うと、リオネスが不安気に頭を上げた。
ともだちにシェアしよう!