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第162話 ∥
順位発表までの2日間、俺はシャロウネと街で遊んだ。
俺自身、街に出るのは久しぶりだった。
だから忘れていた。
一度経験している筈なのに、何故忘れていたんだろう……
何故気付かなかったんだろう……
女性との街歩きが、いかに大変かを……
この2日間シャロウネに引っ張り回された俺は、疲れ果てた状態で学院に来ていた。
順位発表は校舎入口に貼り出される。
その為、入口付近には受験生たちが群がっていた。
これも高校入試を思い出すな。
ただ、ここまで人口密度は高くなかったけど。
校舎入口は令息令嬢+従者とメイドたちでごった返していた。
今からあの中に入っていかなきゃいけないのかと思うと、渇いた笑いが漏れた。
「はぁ、緊張しますわ」
そう言ってシャロウネは胸を手を当てて息を吐く。
「そうですね。……でもこれじゃ順位確認するのに時間が掛かりそうですね」
そう言って俺は、もう一度人混みに視線を向ける。
この世界では紙は貴重で、こういう場でも大きく貼り出される事はない。
こういう場合でもA4サイズくらいの羊皮紙で貼り出される。
その為、受験生たちが自分の順位を確認しようとそこに密集してしまっていた。
「出遅れてしまったみたいだな」
俺たちが人が捌けるまで後ろで待っていると、そう声がする。
見ると、リオネスとロンドが立っていた。
「殿下」
俺が思わず呼んでしまうと、俺たちに気付いたリオネスが笑顔を見せる。
「ディラント!」
リオネスが駆け寄ってくる。
その瞬間、後ろからピリッとした空気を感じた。
見ると、アランとラジールが不機嫌そうにしている。
それを感じ取ったのか、ロンドからもピリッとした空気が漂ってきた。
「ロンド、控えろ」
ロンドが殺気立ってる事に気付いたリオネスがロンドを咎める。
ロンドはそれに素直に従った。
俺も二人に視線を向ける。
二人も俺の視線の意味を汲んで、不機嫌ながらも抑えてくれた。
「ディラント、すまない」
「いえ、こちらこそ申し訳ありません」
そう言って頭を下げると、今度はリオネスが不機嫌そうにした。
「……普通に話してくれて構わないのに」
どうしたのかと首を傾げていると、リオネスがそうボソッと呟く。
俺はその言葉に思わず苦笑を漏らした。
「今は皆の目があるので勘弁してください」
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