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第163話 ∥

「殿下、お話し中口を挟むご無礼をお許しください」 後ろに居たシャロウネが、スッと俺の前に出てそう言って頭を下げる。 「いや構わない」 リオネスが微笑む。 これは完全に王太子モードだ。 「皆の注目を集めております、ここは改められた方が宜しいかと」 シャロウネの言葉に周りを見てみると、皆がこっちを見ていた。 ヒソヒソと何かを話している人も居る。 俺はいつの間に注目されてたのかと、少し焦った。 俺が周りに気を取られていると、シャロウネが振り向いて俺の手を握る。 「ディー、私たちは早く順位を確認しましょう」 シャロウネがニッコリ笑う。 でも何故かその笑顔に悪寒が走って、俺は頭にハテナマークを浮かべた。 「さぁ、早く行きますわよ」 そう言ってシャロウネが俺の手を引いた。 「え、ちょっ……シャーネ?」 仕方なく引かれるままシャロウネに着いていこうとすると、今度は反対側の手を掴まれた。 見るとリオネスが俺の手を掴んでいる。 「……殿下、ディーの手をお離しくださいませ」 「私も順位を確認するところだ」 二人とも笑顔なのに、その間に火花が散った気がした。 ………何、この状況。 何でこの二人が険悪な雰囲気になってるんだ? この状況は理解出来ないけど、今分かることは更に周りから注目を集めているという事だ。 俺は小さくため息をつくと、俺の手を掴んでいる二人の手を掴み直すと、そのまま引っ張った。 「喧嘩なんてしなくても、皆で一緒に見れば良いんですよ」 そう言って俺は、二人を引っ張って掲示板に向かった。

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