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第164話 ∥
俺が手を引くと、二人は素直に着いてきてくれた。
今は俺自身は二人の手を握ってないけど、二人が俺の手を離してくれない。
俺は仕方なくそのまま二人を引いて歩いた。
俺が進むにつれて、人集りが分かれて道が出来る。
……すごいな。
リオネスが居るから皆道を空けてくれるんだろうけど、そのリオネスを引っ張ってる俺にまで注目が集まってる。
大丈夫なのか、これ……不敬罪とかにならないよな。
それに………
俺は後の二人をチラッと見た。
二人は素直に着いてきてくれるものの、いまだにピリピリとした空気が流れてる。
俺が邪魔してストーリーが変わっちゃったけど、本来リオネスとシャロウネは婚約する筈だった。
いくらストーリーが変わったからって、ほぼ初対面の二人がなんでこんなに険悪な空気を醸し出してるんだ?
それにロンドもさっきからずっと睨んでくるし、何故かアランとラジールも不機嫌だった。
一体、何なんだ。
俺はこの状況にため息をついた。
リオネスを連れてたお陰で、掲示板までスムーズに来れた。
順位はクラス順に貼り出されている。
俺はSクラスには自分の名前は無いと思って、Aクラスから探そうと思った。
「ありましたわ!」
俺がAクラスを確認しようとすると、突然シャロウネが抱きついてきた。
「私もディーもSクラスですわ!」
「え、俺もですか?」
「当然ですわ!」
そう言ってシャロウネがグイグイ俺の手を引っ張る。
引っ張られた先はSクラスの順位表の前。
「しかも!」
『ジャーン!』という効果音が付きそうな程のテンションでシャロウネが掲示板を示す。
「ディーが一位ですわ!」
「何で!?」
座学はそれなりに出来たと思うけど、剣術と魔法は散々だった。
そんな俺が一位なんて有り得ない。
そう思って、俺は順位表を確認した。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Sクラス
1、ディラント・グロウ
2、≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
……間違いなく一位だ。
何度確認しても自分の名前が一番上にあった。
「ディラントに負けてしまったな。僕もまだまだって事だな」
いまだに信じられず何度も確認していると、後ろからリオネスがそう呟く。
………そう言えば、ゲームではリオネスが一位だった筈。
Sクラスには攻略対象と悪役令嬢であるシャロウネ、そしてヒロインと全員が揃う。
って言ってもヒロインが入ってくるのは来年の半ばからだ。
俺が一位ってことは、順位が変わってきてるのか?
そう思って、俺はもう一度順位表に視線を移した。
確かゲームではリオネスが一位で二位がロンド。
三位がシャロウネと続く筈……
「……え?」
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