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第171話 ∥
「ディー、試験で1位になったと聞いた。よく頑張ったね」
「ありがとうございます」
「シャーネも4位だと聞いた。よく頑張ったね」
「ありがとうございます、お父様」
今は食後のティータイム中。
俺たちの試験結果を聞いた伯爵様はとても上機嫌だ。
「ディーは新入生代表の挨拶をするのだろう?入学式には私も行くから、ディーの挨拶を楽しみにしているよ」
「……はい」
俺は新入生代表の挨拶の事を思い出して気持ちが沈んだ。
そんな俺を見てシャロウネがクスクスと笑っていた。
「ディーはそういう公の場は苦手ですからね」
「……出来るなら変わってほしいです」
俺がそう言って項垂れると、伯爵様とシャロウネに笑われた。
入学式の説明を受けた時に、試験官に何故俺が一位だったのか聞いてみた。
座学は兎も角、魔法も剣術も散々の結果だった。
そんな俺が一位なのは何かの間違いなんじゃないのかと思っていた。
でも試験官から返ってきた答えは、俺が一位で間違いないとの事だった。
試験官の話では、座学は二位のリオネスとは僅差で一位だったらしい。
魔法は威力は弱いものの、火魔法と風魔法の複合が評価されたらしい。
元々、この世界には複合魔法というものは存在しない。
本来は個々の威力が強いため、他の魔法で威力を増幅させるという考えに至らないらしい。
魔力が弱い人はそれが自分の実力だとそこで諦めてしまうらしい。
俺の場合は相乗効果を狙っての事だけど、それは俺自身が別世界の人間で、それ独自の考えだったみたいだ。
剣術の場合は俺が最後に体術の使って相手を負かした事が評価されたらしい。
試験では『剣術』となっているけど、それに固執せずに臨機応変に動けるかどうかを審査してたみたいだ。
俺は体術が得意で、咄嗟に体が動いてしまっただけなんだけど……
そこが評価されたっていうのも、なんだか複雑だ。
その結果を踏まえて、俺が一位になったらしい。
ちなみに、代表挨拶はリオネスの方が適任じゃないかと進言してみたものの、即答で却下された。
エクレール学院はあくまで実力主義。
いくら王太子だからといって、学院ではその立場は関係無い……だそうだ。
俺は小さくため息をつきつつ二人を見た。
伯爵様もシャロウネも楽しそうに話をしている。
俺的には新入生代表なんて大役、重荷でしかないけど……
二人が喜んでいるなら、それはそれで良いか。
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