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第175話 ∥

(シャロウネside) ディーと別れて、リーナの案内で女子寮に向かった。 寮の入口でリーナが入寮の申請をする。 しばらくすると、入寮申請を終えたリーナが戻ってきた。 「お待たせ致しました。では部屋に参りましょう」 そうリーナに促されて部屋に向かった。 途中、リーナが急にクスクスと笑いだした。 「急に何ですの?」 「申し訳ありません」 そう言いつつもリーナは笑い続けた。 「わたしはてっきり、この後はディラント様と散策にでも行かれるのだと思っていました」 リーナの笑っている理由が分かって、私はため息をついた。 「今回もディーは1日目でダウンしましたの。そんなディーをついて早々連れ回すなんて、私もそこまで鬼ではありませんわ」 「ディラント様はやはり倒れられましたか」 そう言ってリーナが少し困ったように笑う。 「私は慣れていますけど、邸から殆ど出なかったディーには、馬車での長距離移動は負担が大きいみたいですわ」 「ディラント様たちが邸を出発したと連絡を受けてから、アランがずっと心配してたのですよ」 リーナがクスクスと笑いながらそう言う。 リーナ曰く、アランは連絡を受けてからディーがどんな状況で到着してもいいように、この5日間準備に走り回っていたらしい。 「安易に想像できますわね」 少しの間離れていたアランが甲斐甲斐しくディーの世話をする光景が目に浮かびますわ…… そう思って、私は小さく息を吐いた。 ディーは気付いていないけど、私が見る限り、アランやラジール、他に数名ディーに好意を寄せている。 リオネス殿下は確実ですわね。 それに、試験の結果発表の時のディーの様子も気になる。 あの時、ディーが見てたのはアクア・ロミスの名前。 ロミス様は確か、男爵令嬢だったはず。 社交界には殆ど顔を見せず、私も一度も会ったことがない。 そんな令嬢を同じように殆ど社交界に顔を出していないディーが知る筈がないのだけれど…… 私は窓の外に視線を向けた。 これから始まる学院生活、何事も無ければ良いのですが……

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