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第178話 ∥
制服の試着を終えた俺たちは、待ち合わせ場合にもなっている伯爵様が泊まる宿に向かった。
待ち合わせの宿に着くと、宿の前には既に伯爵様とアルマさんとフラルさんレオンさんが居た。
俺に気付いたのか、アランとラジールが駆け寄ってきた。
「アラン、ラジール、父様の出迎えご苦労様です」
俺がそう言うと、アランとラジールが軽く頭を下げた。
アランとラジールには、制服の試着で時間が合わなかった俺とシャロウネの代わりに伯爵様の出迎えを頼んでいた。
伯爵様の方をチラッと見ると、シャロウネが既に挨拶を済ませていた。
俺は、アランとラジールと一緒に伯爵様の元に向かった。
「父様、長旅お疲れ様でした」
「やぁ、ディー。ディーも元気そうで良かったよ」
そう言って伯爵様はニコッと笑う。
「ディーも制服の試着をしたのだろう?どうだったんだい?」
「…えーと」
どうだったと聞かれても、正直困るな。
ディラントの制服姿に精神的ダメージ受けたとも言えないし。
「ディーの制服姿、とても素敵でしたよ」
俺と伯爵様との会話を聞いていたのか、シャロウネがそう言って俺の腕にしがみついてきた。
「そうか、それは二人の制服姿を見るのが今から楽しみだね」
そう言って伯爵様は笑った。
「……いつまで入口で話しているんですか?いい加減、中に入ってください」
伯爵様に同行していたアルマさんがいつまでも宿の入口で喋っていた俺たちに呆れたように声を掛けてきた。
「アルマさん、お久しぶりです」
アルマさんとはかれこれ5ヶ月ぶりだ。
俺が試験勉強と試験でバタバタしていたのと、アルマさん自身も忙しかったことで顔を合わせることが無かった。
「ディラント様、お久しぶりです。お元気そうで何よりです」
そう言ってアルマさんは胸に手を当てて頭を下げる。
「さぁ、挨拶はここまでにして中に入りましょう」
頭を上げたアルマさんが宿に入るように促してきた。
気付けば荷物も運び終えていて、馬車も既に引き上げていた。
俺たちはアルマさんに促されるまま、宿に入った。
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