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第180話 ∥
シャロウネと馬車で向かったのは敷地内にある、校舎とは違う建物。
学院の敷地内には様々な建物がある。
それは用途別に建てられた建物で、行事毎に使う建物が変わる。
俺たちが向かっているのは、入学式などの様々な式典に使う為の建物。
俺の世界でいう、大学の講堂みたいな場所だ。
ただし、そこは貴族の学校。
大学の講堂なんて可愛いものじゃない。
そこはさながら、コンサートホールみたいだ。
いや、コンサートホールよりもっと豪華な造りになっている。
入口を入ると奥にはステージがあり、ステージの少し離れた場所から座席が並ぶ。
その座席は俺の世界では一般的な詰め込まれたような感じでは無く、一つ一つが独立していてゆったりと座れる。
椅子自体もどちらかというと、ソファに近い造りだった。
上には2階と3階があって、2階にもソファ並の座席が並ぶ。
3階は個室になっていて、多分王族や公爵といった上流貴族専用なんだろう。
「ディー、行きますわよ?」
俺がその豪華さに圧倒されていると、シャロウネがそう言って覗き込んでくる。
「あ、すいません。今行きます」
そう言って俺はシャロウネと一緒に新入生の席に向かった。
「ディラント、久しいな」
新入生の席に着くと、既にリオネスが座っていた。
「お久しぶりです、殿下」
そう言って俺は胸に手を当てて頭を下げた。
新入生の席は順位順になっている。
周りを見てみると、既に半数以上の生徒が座っていた。
シャロウネも自分の席に座る。
俺も自分の席に向かった。
その途中、3位の席に視線を向けた。
……アクアはまだ来てないのか。
そんな事を考えながら席に座ると、リオネスがじっと見てくる事に気付いた。
「制服、よく似合っている」
そう言って笑うリオネスに俺も釣られた。
「…殿下もよく似合っていますよ」
ゲームで出てきた姿のリオネス。
嫌でも『イノラバ』の世界だと実感させられる。
それでもゲームと違う部分もたくさんある。
まぁ、これからは同級生になるわけだし、いい関係が築けたらいいと思う。
……そこですごい睨んでくるロンドともな。
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