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第183話 ∥
(シャロウネside)
「嬉しそうですね」
歓迎パーティーの準備をしているとリーナがクスクスと笑いながら言う。
私は見透かされたと、思わず顔を押さえた。
「ずっとお顔がニヤけてますよ」
そう言ってリーナはまたクスクスと笑う。
「リーナ、もう少しまともな言い方はありませんの?」
「申し訳ありません、お嬢様があまりにも嬉しそうなので」
そう謝りながらも、リーナの顔は笑っていた。
「…仕方ありませんわ。漸くディーとパーティーに参加出来るのよ、嬉しくない訳がありませんわ」
「ディラント様はパーティーが苦手ですからね、グロウ家に来た招待はお嬢様と旦那様が行ってましたし」
リーナは私のドレスの最終チェックをしながら言う。
「本当ですわ、何度誘っても断られて…」
そんなやり取りをしていると、扉がノックされた。
リーナが対応する。
「お嬢様、ディラント様が来られたそうです」
「本当ですか!?では、早く支度を終えなければディーを待たせてしまいますわ」
そう言うと、リーナはすぐに仕上げてくれた。
「お嬢様、偉かがですか?」
リーナにそう聞かれて、鏡の前でクルリと一回転してみる。
回った瞬間、ハーフアップにされた髪とドレスの裾がヒラリと靡いた。
「とても良いですわ」
そう言うと、リーナは嬉しそうに微笑んだ。
支度を終えて寮の玄関ホールに向かうとディーが待っているのが見えた。
私が選んだ衣装を身に付けて微笑む。
私は微笑むディーが直視出来ずに思わず視線を逸らしてしまった。
待ちに待った瞬間ですわ!
あぁ、いけませんわ、あのディーの姿を見るとニヤけてしまう。
「…シャーネ、どうかしたんですか?」
そう言ってディーが心配そうに覗き込んできた。
「何でもありませんわ」
私は何事もなかったように、ディーに微笑んだ。
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