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第192話 ∥

「ずいぶんと仲がよろしいのですね」 リオネスたちと話していると、シャロウネがそう言って俺の腕にしがみついてきた。 「殿下、私からディーを取らないでいただきたいですわ」 「シャーネ!?」 いくらなんでも、それは気安すぎじゃ。 そう思って、俺は若干焦った。 周りもざわつく。 「すまない、ディラントを取るつもりはなかったんだよ」 そう言ってリオネスが困ったように笑う。 リオネスを見ると、シャロウネの物言いは気にしていないみたいだった。 シャロウネ曰く、リオネスが気軽に接して欲しいと言ったからそうしたらしい。 確かにそうしろとリオネスは言ったけど、初っぱなからあんな物言いをするとは思わなかった。 しばらくすると、始業の鐘が鳴る。 その鐘と同時にクラス担任が教室に入ってきた。 それを合図に喋っていた生徒たちが一斉に席につく。 こういうところはどの学校でも一緒だなと、思わず笑みが溢れた。 俺は席につくと、空いている席に視線を向ける。 ……アクアは来ないのか? そんな事を考えていると、自己紹介が始まった。 Sクラスは全部で10人。 試験の上位10名が入ることになってるけど、6位のオルトだけは騎士科に所属しているためこの教室にはいない。 騎士科は文字通り、騎士を目指す人のための科。 戦闘訓練を中心に、騎士になるために色々な事を学ぶ。 俺たちと一緒なのは魔法や武術の授業の時だけ。 座学は基本、別になる。 クラスが違うんじゃ、オルトとはあまり接点がないな。 オルトは6位だから、生徒会にも属さないし。 Sクラスの一番の役割は、生徒会役員として学院を運営すること。 運営といっても、あくまで学生がすること。 生徒会の仕事は、イベントの企画設営、部活動の経費管理、後は備品管理など。 一位の生徒が生徒会長、二位が副会長、3名が補佐として上位5名が生徒会役員に任命される。 企画設営、経費管理、備品管理と簡単に言うけど、社会人を経験している俺としてはその大変さを知っている。 それを俺が中心でやらなきゃいけないと思うとため息しか出ない。 本当、気が重くて仕方ないな。

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