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第193話 ∥

学院に入学して一週間が経った。 授業は始まっているものの、習うことはまだ基礎的なものばかりで、少し退屈になってくる。 あの後、アクアの事をクラス担任にこっそり聞いてみた。 3位のアクアが居ないことを疑問に思ったという理由にしたら教えてくれた。 クラス担任の話では、諸事情で学院に来れないとのことだ。 もしかしたら、少し前まで庶民だったアクアが貴族ばかりが集まる学院に気後れしているかもしれないと言う。 俺の事情を知っている担任からは、アクアが来たら気に掛けてあげてくれと頼まれた。 正直関わりたくはないんだけど、クラスも一緒、生徒会でも一緒となると難しいだろうな。 とりあえず、アクアが学院に来るのはもうしばらく後になる事が分かった。 俺は居ない人を気にしてても仕方ないなと、とりあえずアクアの事は考えないようにした。 いや、考える余裕がなかった。 俺は今、貴族の新な問題に直面していた。 ……何故だ?何故こんな非効率なやり方が罷り通るんだ? 俺は生徒会長として、引き継ぎの書類と格闘していた。 他にも今の現状を調査した報告書にも目を通さなきゃいけない。 別に読む事自体は苦にならない。 でも、その作業が全く進まない。 原因は分かってるだ。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ (リオネスside) 生徒会役員として3日が経った。 生徒会の引き継ぎと、現状の調査書類の処理で忙しくしていた。 ただ、何故か日を追う毎にディラントの機嫌が悪くなっている気がする。 「シャロウネ嬢、ディラントの機嫌が悪いように見えるのだが……」 近くに居たシャロウネ嬢に確認してみる。 僕がそう言うと、シャロウネ嬢はディラントに視線を向けた。 「……恐らく、書類に不備が多いのではないでしょうか」 「不備?」 シャロウネ嬢とそんな話をしていると、ディラントが突然机を叩いた。 僕も含め、シャロウネ嬢とロンドも驚いてディラントに視線を向けた。 見ると、ディラントが書類を机に叩きつけていた。 「……ディ、ディラント?どうかしたのか?」 「何なんですか、この書類は?」 普段は穏やかなディラントが、激しく感情を露にする。 「……書類がどうかしたのか?」 シャロウネ嬢の言った通り、書類に不備があったのか。 「無駄が多すぎます。こんなものをよく報告書と言える」 そう言って怒るディラントに、書類を見せて貰った。 僕は受け取った書類に目を通した。 「僕が見る限り、不備が無いように思えるが」 そう言うと、ディラントに睨まれてしまった。

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