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第200話 ∥
ロンドも本が好きみたいで図書館で一緒になることが多かった。
一緒になっても、喋ることもなくお互いが好きな本を読んでいた。
ロンドは閉館時間になると、集中して時間を忘れた俺に声を掛けてくれるようになった。
その頃には顔を会わせる度に睨まれたりすることもなく、笑顔も見せてくれるようになった。
これは、少しは仲良くなれたのかな。
ただ一つ、気になることがあった。
「ディラント・グロウ?どうかしたのか?」
図書館からの帰り、見ていた俺にロンドがそう聞いてくる。
「……ロンド様、いい加減フルネームで呼ぶのは止めてくれませんか?」
そう言うとロンドは『何か問題でも?』とでも言うように首を傾げる。
俺はそんなロンドにため息をついた。
「俺の事は『ディラント』で良いですよ」
「……ディラント?」
確認するように名前を呼ぶロンドに俺は頷いた。
「分かった、これからはディラントと呼ぶことにする。それから俺の事は『ロンド』で良い」
『様』はいらないとロンドは言う。
「……ロンド?」
本当に良いのかと思いつつ、俺も確認するように呼んでみた。
そうすると、ロンドは優しく微笑んだ。
「おい!お前!」
図書館からの帰り、ロンドと廊下を歩いていると、突然後ろから怒鳴り声が聞こえてきた。
振り返って見ると、見知らぬ男子生徒が立っていた。
「……ロンドの知り合いですか?」
「……いや、俺は知らないな」
俺はもう一度その男子生徒を見てみるけどやっぱり知らない。
でもその生徒は明らかに俺たちに怒りを向けてくる。
「おい!何を黙っている!」
どうしようかと悩んでいると、その生徒がまた怒りを露にする。
「何とか言ったらどうなんだ!ディラント・グロウ!」
…はぁ!?俺!?
「……あの…失礼ですけど、どちら様ですか?」
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