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第202話 ∥
(ロンドside)
「ロンドから聞いた。僕のせいで迷惑を掛けたみたいだな」
あの後、俺はすぐにリオにディラントが男子生徒に絡まれたことを報告した。
次の日、リオはディラントと顔を会わせるなり謝った。
「気にしないでください。口論になっただけなので」
そう言ってディラントは笑う。
「ディラントは見事に言い負かしていたからな」
俺はあの時の事を思い出して、思わず笑ってしまった。
「ディーは歯向かってくる相手には容赦無いですから」
シャロウネ嬢がそう言って頬に手を当て、呆れたようにため息をつく。
「そんなに酷くないと思いますけど」
「いや、わざと嫌みっぽく言う辺り、いい性格してると思ったぞ?」
「俺はそんな性格悪く……」
ディラントは何かを思い当たったように固まってしまった。
「……そういえば、昔ラジールにも似たようなこと言われたような」
ディラントは『俺は本当に性格が悪いのか』とぶつぶつ言いながら悩み始めてしまう。
「大丈夫ですわ。ディーはそのままで十分魅力的ですから」
シャロウネ嬢が悩み始めたディラントを励ますように言う。
「そうだな、ディラントは十分魅力的だ」
「……シャーネは兎も角、ロンドはからかってますよね?」
そう言ってディラントが睨んでくる。
俺は笑って誤魔化した。
「気は済んだか?」
ディラントとシャロウネ嬢が話してるところを見ていると、リオがそう聞いてくる。
俺はもう一度ディラントに視線を移した。
「……そうだな、ディラントの人となりはわ分かった。リオと陛下が気にかけているのも頷ける」
そう言うと、リオは『そうか』と微笑んだ。
「そういえば少し前にディラントが、ロンドに嫌われているんじゃないかと気にしていた」
「そんなつもりはなかったんだが…… 気にさせたなら悪いことをしたな」
「まぁ、今は誤解も解けただろう。ただ、仲良くなり過ぎなようにも思えるが……」
とリオは少し不満そうに言う。
「ディラントを認めたからには、俺も仲良くなろうと思ってな」
「それも既に呼び捨てで呼ばれてるなんて……僕はまだ『殿下』なのに……」
そう言って項垂れるリオに、俺は思わず笑ってしまった。
「ディラントに頼めば名前で呼んでくれるんじゃないか?頑張れよ、で・ん・か」
そう言うと、リオはすごく悔しそうにしていた。
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