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第204話 ∥

アランとラジールと戯れていると、後ろからパンパンと手を叩く音がした。 見るとリオネスとロンドが立っていた。 「素晴らしい手合いだった」 そう言ってリオネスが拍手をする。 「殿下、いつから居たんですか?」 「少し前だな。それより、ディラントは強かったんだな」 「俺はまだまだですよ。なんせ二人に手を抜かれてますから」 そう言ってアランとラジールを見ると、二人はバツが悪そうに顔を背けた。 「いや、あれだけ動ければ十分だと思うぞ?」 とロンドが言う。 「あ、ロンドも居たんですね。気付きませんでした」 まぁ、嘘だけど。 「いや、思い切りリオの横に居たからな!?」 ロンドのあまりの慌てように、思わず笑ってしまった。 「冗談ですよ」 そう言うと、ロンドは少し不貞腐れた顔をした。 「……随分と楽しそうだな」 ボソッと聞こえてきて、見るとリオネスが拗ねたような表情をしていた。 「放ったらかしですいません。ところで、今日は二人揃ってどうされたんですか?」 拗ねたリオネスがちょっと可愛いと思ったのは内緒にしておこう。 「今日は時間が空いてな。ディラントと街にでも行こうと思ったんだ?」 『先触れもなく申し訳ない』とリオネスは言う。 「俺は休めと言ったんだけどな」 とロンドがリオネスの後ろから言う。 その後、俺の方に寄ってきた。 「生徒会に公務と、ずっと仕事しててな。今日も無理矢理休みにしたんだよ」 とロンドが教えてくれた。 「え、それって……休んだ方が良いんじゃ?」 「そう言ったんだけど……」 ロンドがリオネスに視線を向ける。 「僕だって、休日に友達と遊びたい!」 と言って、リオネスはこぶしを握った。 「…って聞かなかったんだ」 そう言うと、ロンドはため息をついた。 ゲームでのリオネスは完璧な王子様だった筈。 でも、今目の前にいるのは明らかに15歳の子供。 リオネスがこんな駄々を捏ねるなんて…… ゲームのリオネスと今のリオネスのギャップがありすぎて、俺は思わず笑ってしまった。 突然笑い出した俺に、皆がぽかんとする。 「それなら仕方ないですね」 笑いすぎて出た涙を拭いなからそう言うと、皆が首を傾げる。 「この後、シャーネと一緒に昼食を食べる約束をしているんです。シャーネも一緒で良ければ、殿下たちもご一緒しますか?」

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