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第205話 ∥

(リオネスside) ディラントが突然笑い出したかと思ったら、昼食を一緒にと言ってきた。 シャロウネ嬢と約束をしていたらしく、そこに僕たちが邪魔するのは気が引けた。 姉弟水入らずのところを邪魔する訳にはいかないとディラントに言うと、シャーネは大丈夫と言って笑った。 ディラントが出掛ける準備をしたいと、僕たちもディラントの部屋に通された。 僕たちが現れた事で寮内がザワついたけど、それは気にしないでおこう。 部屋に入るとディラントにソファに座るよう促された。 それに従ってソファに座ってしばらく、赤褐色の髪をした従者がお茶を出した。 「すいません、支度をしてくるので少し待っててください」 そう言って、ディラントは浴室に入っていく。 扉を閉めようとした時何かを思い当たったのか、ディラントがまた顔を出した。 「ラジール、失礼の無いように」 ディラントがそう言って、また浴室に入っていった。 部屋には僕とロンド、赤褐色の髪をした従者、ラジールが残された。 ディラントのもう一人の従者はシャロウネ嬢に僕たちの事を知らせに向かっている。 僕はディラントが入っていった浴室にチラッと視線を向けた。 ディラントが入っていると思うと、少しソワソワしてしまう。 「リオ、顔がだらしない」 ロンドにそう言われる。 「だらしないってなんだ?」 「だらしないからだらしないって言ったんだ」 ロンドとそんなやり取りをしていると、突然ドンッと音を立てて机に菓子の入ったお皿が置かれた。 「どうぞ、こちらもお食べください」 そう言ってラジールがにっこりと笑う。 でもその目は笑っていなかった。 「あ、ありがとう」 僕がそう言うと、ラジールは何も言わず立ち去った。

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