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第206話 ∥

浴室に入って手合いでかいた汗を流す。 人を待たせてるから急いぐ。 風呂から上がると、体を拭いて髪を乾かす。 その後用意してあった服に袖を通した。 普段ならアランにチェックして貰うけど、今はシャロウネに伝言を伝えに行ってもらって居ないから、鏡の前に立って自分でチェックする。 ……おかしくないよね? 鏡の前でくるくると体の角度を変えてチェックする。 この世界の服はいまだによく分からない。 かといって、人に着せて貰うのは気が引ける。 というより、大の男が他人に着替えさせられる光景が耐えられない。 大丈夫だと判断して、俺は浴室を出た。 「お待たせしました」 浴室を出てリビングに行くと、何故か空気がピリピリしている気がした。 「……何かありましたか?」 「いや、何もないよ」 リオネスが首を降ってにっこりと笑う。 「リオの自業自得だから、ディラントは気にしなくていいよ」 とロンドが言う。 俺は訳が分からなくて首を傾げた。 俺たちはアランが戻ってくるのを待って、シャロウネとの待ち合わせ場所に向かった。 「徒歩ですいません」 俺もシャロウネも歩くのは好きで、馬車は必要最低限しか使わない。 王族を歩かせるなんて、本来ならあり得ないんだけど…… 「気にしなくていい、僕も歩くのは嫌いじゃない」 とリオネスは上機嫌だ。 まぁ、リオネスが楽しそうならいいか。 俺は一人でそう納得した。

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