210 / 226

第207話 ∥

待ち合わせ場所につくと、既にシャロウネが待っていた。 「シャーネ、すいません、少し遅れてしまいましたか」 シャロウネに駆け寄ると、シャロウネはにっこり笑う。 「大丈夫ですわ、私が少し早く来すぎてしまっただけですから」 そう言うシャロウネに、俺はホッと息を吐いた。 「シャロウネ嬢、突然僕たちまで来てしまって申し訳ない」 俺の後ろに居たリオネスがシャロウネにそう言う。 「とんでもございません。私こそ、殿下と一緒に食事が出来るなんて、とても幸栄ですわ」 そう言うシャロウネに、リオネスも安心したようだ。 「……ところで、シャーネは一人なんですか?リーナさんは?」 俺はリーナさんが居ない事に気付いて、シャロウネに聞いてみる。 「リーナには留守番をして貰ってますわ」 その言葉に、俺はシャロウネが一人だと確信する。 「シャーネ、いくら学院都市内でも一人は危ないですよ」 そう言うと、シャロウネはクスクスと笑った。 「心配要りませんわ」 シャロウネは『それに』と続けて、顔を寄せてきた。 『例え襲われても、私ならどうとでも出来ますわ』 と耳元で囁いた。 それがどういう意味なのか、俺にはすぐに分かった。 シャロウネは幼い頃から今まで、俺と一緒に魔法の訓練をしてきた。 俺のために学院では隠してるけど、シャロウネも俺と同じ複合魔法が使える。 しかも、魔力の強いシャロウネは俺よりも遥かに強力な魔法を使う。 そんじょそこらの人ではシャロウネには敵わないだろう。 それでも… 「やっぱり一人は危ないです。今後は俺が付き合いますから、一人で行動しようなんてしないでください」 そう言うと、シャロウネは何故か嬉しそうに笑った。

ともだちにシェアしよう!