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第214話 ∥
(リオネスside)
ディラントとオルトが勝負をすると耳にした僕とロンドは、急いで演習場に向かった。
演習場に入ると、既に噂を聞き付けた生徒が集まっていた。
訓練をしていた騎士科の生徒も手を止めて見学をしている。
その人集りの中にシャロウネ嬢を見つけた。
「シャロウネ嬢」
「あら、殿下も要らしたのですね」
「ディラントとオルトが勝負をすると聞いた」
そう言って、僕はディラントの姿を探した。
少し離れたところにディラントとオルトの姿を見つけた。
オルトは木剣を持っているけど、ディラントは素手だ。
もしかして、オルト相手に素手で勝負をするつもりか!?
「心配いりませんわ。ディーが負けることはありません」
シャロウネ嬢は自信満々に言う。
「オルトは幼少の頃から父である騎士団長から剣術の指南を受けている。いくらディラントが強くても……」
「大丈夫ですわ。ディーが負けることはありませんし、オルト様には忠告をいたしましたので」
そう言ってシャロウネがニッコリと笑った。
「……忠告と言うのか何かは分からないが……シャロウネ嬢はディラントが勝つと信じているんだね」
そう言うとシャロウネ嬢がまたニッコリと笑う。
「当然ですわ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ディラントside)
……なんか、準備してる間にギャラリーが増えたような。
そう思って周りを少し見回すと、シャロウネの横にリオネスとロンドを見つけた。
二人も来たのか……
なら、カッコ悪いところは見せられないな。
「準備はいいか?」
オルトがそう聞いてくる。
「いつでも」
そう答えると、オルトが審判を申し出てくれた騎士科の生徒に合図を送った。
向かい合うと、オルトがスッと木剣を構える。
……あれ?
俺は剣を構えたオルトの姿に違和感を覚えた。
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