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第216話 ∥

オルトの攻撃をいくつか受けて、何となく原因が分かってきた。 もう良いだろうと思って、俺はオルトの隙をついて持っている木剣を蹴り飛ばした。 ガランッと音を発てて木剣が落ちる。 オルトはその様子をポカンと見ていた。 俺は蹴り飛ばした木剣を拾った。 ……これ、結構重いな。 「すいません」 俺は、同じくポカンとしている審判をしてくれた騎士科の生徒に声を掛けた。 まだ呆気に取られているようで、反応がない。 「すいません!」 再度強めに声を掛けると、騎士科の生徒がハッとした。 「……あ、すまない。なんだったか?」 「これより重たい剣ってありますか?」 俺はオルトが使っていた木剣をなんとか持ち上げて見せる。 「これより重たい剣?それだと大剣になるが……」 「それをお借り出来ないですか?」 そう言うと、騎士科の生徒は『何故?』という風に首を傾げた。 疑問に思いつつも、騎士科の生徒は大剣を模した木剣が保管されている倉庫へ案内してくれた。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ (オルトside) 何度剣を振るっても、ディラントには届かなかった。 気付いた時には、剣を弾き飛ばされていた。 勝てると思っていた。 まさか、一太刀も当てられないとは思っていなかった。 俺はディラントを見くびっていた。 自分の力を過信して、相手を見くびるなんて、騎士失格だ。 「大丈夫ですか?」 そんな事を考えていると、ディラントが覗き込んできた。 驚いた俺は、思わず後退ってしまった。 「……問題ない」 そう答えると、ディラントはニッコリと笑った。 「間違っていたら申し訳ないんですけど……オルト様、最近剣が思うように扱えないってこと無いですか?」 「……どうしてそれを?」 それは俺の最近の悩みだった。 剣が思うように扱えない。 今まではそんな事なかったのに、思い通り止められなかったり、思い通りの軌道に行かなかったり。 「一度、これを持ってみてください」 そう言ってディラントは後ろに控えてきた騎士科の生徒に合図を送る。 その騎士科の生徒が持っていたのは大剣。 俺は促されるまま、大剣を手に取った。 今までのロングソードとは違いずっしりと重みが手に伝わってくる。 でも、その重みが苦ではなかった。 「軽く振ってみてください」 ディラントにそう言われ、俺は大剣を振ってみた。

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