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第217話 ∥
(オルトside)
俺はディラントに言われるまま大剣を振ってみた。
ロングソードより重い筈なのに、思い通りに振れている気がする。
ロングソードより手に馴染む。
これはどういうことなんだ?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ディラントside)
俺は大剣を軽々と振るオルトを眺めていた。
よくあんな重たい剣を振れるな。
俺は持ち上げることすら出来なかったのに。
「ディー」
オルトを眺めていると、見学していたシャロウネとリオネスが依ってきた。
「怪我はありませんか?」
そう言ってシャロウネが確認するように触る。
「大丈夫ですよ、オルト様の攻撃は当たってないので」
「……オルトもかなりの実力の筈なのだがな」
リオネスが呆れたように言う。
「オルト様が万全なら、避けきれなかったかもしれないです」
「それだ。あれはどういうことなんだ?」
リオネスが大剣を楽しそうに振っているオルトを指差す。
恐らく、リオネスもオルトが不調だったことを知っているんだろう。
そのオルトが不調を感じさせず剣を振る姿が疑問らしい。
「あぁ、あれは……」
「ディラント!」
リオネスに説明しようとすると、オルトが走ってきた。
「これはどういうことなんだ!?」
そう言ってオルトが迫ってきたから、一瞬退いてしまった。
「オルト様、落ち着いてください。今説明しますから」
興奮気味に迫ってきたオルトを宥め、落ち着くのを待った。
オルトが落ち着いたのを確認して、俺は息を吐いた。
俺の周りにはオルト、リオネス、ロンド、シャロウネと数人の騎士科の生徒が集まっていた。
「結論から言うと、オルト様が剣を上手く扱えなかったのは、剣が軽すぎたからです」
「……剣が軽すぎた?」
オルトが『意味が分からない』とでも言うように首を傾げる。
他も意味が分かってないみたいだった。
「オルト様は今までずっとロングソードを使ってましたよね?」
そう聞くと、オルトが頷く。
「オルト様は今までの訓練で筋力が上がってます。その状態で今までと同じように剣を振ったら、勢い余って自分で思ったより大振りになるんです」
「それはどういうことなんだ?」
そうリオネスが聞いてくる。
ここからは少し小難しい話になるけど、みんなに出来るだけ解りやすいように説明した。
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