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第220話 ∥
(リオネスside)
僕は火季休暇を使ってある計画を立てた。
その計画を実行すべく、公務をかなり頑張って1ヶ月の休みをもぎ取った。
「グロウ家にはちゃんと先触れを出したのか?」
馬車で目的の場所に向かう途中、ロンドがそう聞いてくる。
「それは抜かりない」
「なぁ、ディラントのところに行くんだろ?まだ掛かるのか?」
オルトが落ち着き無く窓の外を確認する。
「オルト、もう少し静かに出来ないのか?」
騒ぐオルトをロンドが諫める。
ロンドが諫めるもオルトが素直に大人しくなるわけがなく、僕はその様子を呆れたように眺めていた。
しばらく馬車を走らせると、グロウ邸に到着した。
邸の中に案内されると、グロウ伯爵とシャロウネ嬢が出迎えてくれた。
「殿下、ようこそお出でくださいました」
「お待ちしておりましたわ」
そう言ってグロウ伯爵は手を胸に当て、シャロウネ嬢はドレスを広げ頭を下げた。
「出迎え感謝する。突然の訪問になって申し訳ない」
「とんでもごさいません。殿下に来ていただけるなんて光栄です」
そう言ってグロウ伯爵はもう一度頭を下げた。
「さぁ、もういいだろう。そろそろ普段通りにしてくれないか」
そう言うと、グロウ伯爵とシャロウネ嬢は顔を見合せて笑った。
さっきの挨拶は形式的なもの。
この二人は、僕に対して普段はこのような対応はしない。
「では普段通りで接することにしましょう」
「そうして貰えると有難い」
僕は辺りを見回した。
「ところで、ディラントは?」
そう聞くと、グロウ伯爵とシャロウネ嬢は顔を見合せた。
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