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第222話 ∥

(リオネスside) シャロウネ嬢が扉をノックすると、従者が顔を出した。 ラジールとは違う、ディラントのもう一人の従者。 「お嬢様、どうされました?」 「殿下をディーのところにご案内致しましたの」 シャロウネ嬢がそう言うと、従者がチラッとこちらを見る。 「少々お待ちください」 そう言って従者は部屋の中に入っていった。 しばらくすると、従者がもう一度顔を出す。 今度は扉を開けて、手で室内を示した。 「どうぞ、お入りください」 従者にそう言われ部屋の中に入ると、そこは地上と遜色ない部屋の造りとなっていた。 それでも、やっぱり地下なだけあって涼しい。 「…殿下、ようこそいらっしゃいました。お出迎えが出来ずに申し訳ありません」 部屋に入って直ぐ、ディラントに出迎えられる。 ディラントは普段とは違い、シャツとズボンというかなりラフな格好をしていた。 「ディラント様、座っていてください!」 そう言って従者がディラントをソファに座らせようとする。 「大丈夫ですよ、それに殿下達が来たのに出迎えないわけには……」 「ディラント様の大丈夫は信用度出来ません!いいから座っていてください!」 そう言って従者は無理矢理にでもディラントをソファに座らせた。 「アラン、今度はなんですの?」 シャロウネ嬢が呆れたように従者に聞く。 従者の様子から、ディラントの体調が悪いのは分かる。 シャロウネ嬢の様子から、ディラントの体調不良は定期的に起こっているみたいだ。 「軽い熱中症です。炎天下の中、ずっとルオとじゃれていたんですよ」 従者が呆れたようにため息をつく。 「だから大丈夫だと……」 「ルオに担がれて来たくせに、本当に大丈夫だと?」 そう言って従者がディラントをジト目で見る。 「それはアウトですわね」 そう言ってシャロウネ嬢がニッコリ笑う。 ディラントに反撃の余地は無かった。

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