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第223話 ∥
(リオネスside)
「つまり、熱中症で倒れてしまった為に出迎えが出来なかったと」
「はい、すいません」
そう言って、ディラントは申し訳なさそうに俯く。
僕たちはソファに座って、漸く落ち着いて話をしていた。
「いや、ディラントに大事がなくて良かった。 ところで、シャロウネ嬢とそこの従者の話では、ディラントは火季はよく体調を崩すと言うが……」
「あ、彼は俺の従者でアランっていいます」
『紹介してなかった』とディラントが従者、アランを紹介してくれた。
アランが胸に手を当てて頭を下げる。
その後すぐ、アランは僕から視線を外した。
アランもスラム出身だと聞いた。
ラジールほど敵意は向けてはきていないが、良くは思われていないらしい。
「話を戻すが、ディラントは火季によく体調を崩すのか?」
「…あー、それは……」
ディラントがバツが悪そうに顔を背ける。
「ディーは集中すると周りが見えなくなってしまいますの」
シャロウネ嬢がお茶の飲みながら言う。
「本を読む事に夢中になって脱水になり掛けたり、暑さによって食欲が落ち、貧血を起こしたり」
『本当に目が離せませんわ』とシャロウネ嬢がため息をついた。
「そう言えば、前に決められら時間外の読書は禁じられていると言っていたな」
ロンドが思い出したかのように言う。
……そうか、ディラントは火季が苦手なのか。
もしかして、今僕が立てている計画はディラントにとって迷惑になるんじゃ……
そんな事を考えていると、ロンドに肘で小突かれた。
「まさか止めるなんて言わないよな?」
ロンドは皆には聞こえないように小声で話す。
「……しかし、ディラントに迷惑なんじゃ」
「お前、この一ヶ月の休暇を取る為にどれだけ頑張ったと?」
「それはそうなんだが、これは僕が勝手に計画してた事で……」
そう言うと、ロンドにため息をつかれた。
「どうなるかはディラント次第だが、取り敢えず話すだけは話してみろ」
『良いな?』とロンドは念を押してくる。
僕は迷いながらも、ロンドの言葉に頷いた。
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