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第228話 ∥

王宮に着くと、準備の為に数十人の人がバタバタとしていた。 俺たちは指示された場所に馬車を停めると、従者の一人にリオネスたちのところに案内された。 俺たちが進む度に準備中の従者たちが避けていく。 案内してくれている従者も心なしか離れて歩いている。 その原因はルオが居るからだ。 それでも、避けるだけで騒ぎにならないのはリオネスが前もって通達していたんだろう。 ルオ自身も初めて邸から出たからどうなるだろうと思っていたけど、キョロキョロとしているものの比較的落ち着いていた。 「ディラント」 俺たちに気付いたリオネスが駆け寄ってくる。 「殿下、本日はお招きありがとうございます」 そう言って俺は手を胸に、シャロウネはスカートを広げた。 「堅苦しい挨拶はやめてくれないか、いつも通りでいい」 リオネスが困ったように笑って言う。 「王宮なので、一応形式に乗っ取ったんですけど」 「ここには煩く言う人は居ない」 そう言われて周りを見てみると、確かに気にしている人は居なかった。 と言うよりは準備で気にする余裕がないのか。 そんな事を考えていると、ルオが手にすり寄ってくる。 グルグルと喉を鳴らしくっついてきた。 「お、ルオも来たな」 ルオに気付いたリオネスがルオの前にしゃがんだ。 リオネスは俺たちを誘いに来た日から、時折グロウ邸に顔を出すようになった。 ルオもリオネスを気に入っているみたいで、リオネスが来る度に出迎えをするようになった。 いつもはリオネスがルオの前にしゃがむと、ルオは喉を鳴らしながら嬉しそうにリオネスにすり寄っていく。 でも今日はリオネスが目の前にしゃがんでも、ルオは俺から離れようとしない。 ルオはどこかソワソワとしながら、周りをキョロキョロとしていた。 「ルオ?どうかしたのか?」 いつもと違うルオの様子に、リオネスが首を傾げる。 「邸の外に出るのが初めてなので、落ち着かないみたいです」 俺がそう言うと、リオネスはもう一度ルオに視線を向けた。 「そうか、慣れない場所は不安だよな」 そう言ってリオネスがルオの頭を撫でる。 ルオもリオネスに撫でられて少し落ち着いたのか、リオネスに体を寄せる。 「時間が経てば慣れると思います。……でも本当にルオも一緒で良かったのですか?」 そう聞くと、リオネスがニッコリ笑う。 「問題ない。皆の了承は得ているし、ルオが危害を加えることがないのは、今僕がこうして撫でている事が証明になる」 そう言われて、俺は周りを見てみた。 さっきまで少なからずルオを警戒していた人たちが、今はその警戒が薄れているように見えた。 リオネスが撫でた事で、ルオは安全だと判断されたんだ。 もしかして、リオネスはその為にルオを撫でたのかな? 「ありがとうございます」 そう言うと、リオネスはフッと笑った。
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