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第230話 ∥
いつまで経ってもあまり代わり映えのしない景色を見ることに飽きてしまった俺は、持っていた本を読んでいた。
どれくらい経ったのか、突然ルオに体当たりされた。
体当たりと言っても膝に乗るくらいだけど、ルオの大きさで突然乗ってこられるとびっくりする。
「ルオ、突然何?」
俺は持っていた本を横に置くと、すり寄ってくるルオを撫でた。
「僕がルオに頼んだんだよ」
そう声がして、見るとリオネスが困ったように笑っていた。
「何度も呼んでいましたのに、本に夢中で全く聞こえていませんでしたね」
とシャロウネも呆れたように言う。
どうやら結構前から呼ばれていたらしい。
「……すいません」
「もうすぐ、今日滞在する予定の領主邸に着く」
そう言われて窓の外を見ると、馬車は小高い丘を登っていて、この先には大きい邸が見えた。
こういった長旅の場合、普通の貴族なら宿屋などに宿泊したりもするけど、王族ともなると警備の問題からそこらの宿に泊まる訳にもいかず、大抵は領主や貴族の邸を宿泊に利用する。
今日滞在するのは領主の邸。
前もって通達はしているから既に邸の主たちが入り口で待っているのが見える。
馬車が入り口の前に着くと、邸の従者が急かさず馬車の扉を開けた。
最初にロンドが馬車を下りる。
ロンドが目配せをすると次にリオネスが馬車を下りた。
リオネスが下りると邸の主がリオネスに挨拶をする。
その間に俺とシャロウネも馬車を下りた。
気付いた邸の主が俺たちに向けて胸に手を当てて頭を下げた。
「ようこそお出でくださいました。私はここの領主を務めておりますロベルト・グリズナーと申します」
「私はシャロウネ・グロウですわ」
そう言ってシャロウネがスカートを広げる。
「弟のディラント・グロウです」
そう言って俺も胸に手を当てて頭を下げた。
一通り挨拶を済ませると、食堂に案内された。
他の人の邸は今まで見たことなかったから、ちょっと新鮮で楽しい。
オルトも加わって夕食を取る。
リオネスが知らせてるのか、俺の分の食事は他より少ない。
それでも多くて、食べきれず残してしまった。
作ってくれたシェフたちに申し訳ないな。
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