235 / 236
第231話 ∥
それから9日ほど、領主や貴族の邸を経由しながら馬車の旅は続いて、ようやく王族専用の別荘に辿り着いた。
俺はというと、4日目に力尽きた。
馬車酔いは薬草で誤魔化してはいたけど、精製していない薬草では効き目が薄い。
そのせいもあって、薬草が効かなくなった。
疲れも本を読んだりと誤魔化してきたけど、疲れは溜まっていくもので、4日目にして完全に力尽きた。
別荘に着いてからは、用意された俺専用の部屋で療養を余儀なくされた。
「もう大丈夫か?」
食堂に案内されると、俺に気付いたリオネスが声を掛けてきた。
「はい、もう大丈夫です。心配かけてすみません」
「そうか、良かった」
そう言ってリオネスは笑った。
俺は別荘に到着してから2日間寝込んでいた。
いや、正確には1日ゆっくり休んだら回復したんだけど、皆に大事を取ってもう1日休んでいろと言われて部屋に籠っていた。
と言っても皆が俺の部屋に集まっていたから、せっかく別荘に来たのにという残念な気持ちにはならなくて、もしかしたら俺が退屈しないようにと皆が気を使ってくれたのかもしれない。
でもその事に対して、お礼を言ったり謝ったりするのは何か違うような気がして、俺はその事には触れないでおこうと決めた。
リオネスと他愛ない話をしているとルオが走ってきた。
その後ろからシャロウネとロンドとオルトが来た。
「ディー、もう大丈夫ですか?」
そう言ってシャロウネが俺の顔を覗き込んでくる。
「2日間ゆっくり休んだので、もう大丈夫ですよ」
俺がそう言うと、シャロウネはじっと俺の顔を見た。
しばらくして納得したのか、何か頷いていた。
シャロウネと話をしていると、ルオが頭をぐりぐりと押し付けてきた。
「どうした?」
ルオの頭を撫でながら聞くと、ルオは何かを訴えるように鳴く。
「ディラントに構って貰いたいんじゃないか?」
俺が首を傾げていると、リオネスがクスクスと笑いながら言う。
そういえば、ここに着いてからルオに構ってあげてなかったな。
「ルオ、この後一緒に外で遊ぼうか」
そう言うと、ルオは元気よく返信をした。
ともだちにシェアしよう!

