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第234話 ∥

オルトは持っていた木剣を置いて着替えてくると言って邸に走って行った。 俺も邸の方まで戻り、周辺にある草木を眺めながらオルトが来るのを待った。 しばらくして邸の方からオルトが走って来た。 「どうしたんですか!?そんなびしょ濡れで」  戻ってきたオルトは髪から水滴が滴り落ちていて、せっかく着替えた服を濡らしていた。 「汗をかいたから水をかぶってきた」 オルトはさも当然のように言う。 俺はそんなオルトに呆れてため息をついた。 「まったく、いくら火季とはいえ、風邪をひいたらどうするんですか」 そう言って俺はオルトに両手を伸ばした。 『ドライ』 そう唱えると、オルトの周りに暖かい風が吹く。 その風で濡れていたオルトの髪が乾いて、サラッと風になびいた。 これは風と火を使った混合魔法。 俺の世界のドライヤーを模して風と火の割合を調整して温風を造り出してる。 ちなみに火の割合を多くすると火炎放射器みたいになる。 俺はオルトの髪が乾いた事を確認すると、ふぅと息を吐いた。 オルトは自分の髪を触って乾いたのかを確かめる。 「すごいな!今のが混合魔法か!?」 とオルトが目を輝かせる。 「噂には聞いていたが、こんな事も出来るんだな」 そう言ってオルトがもう一度自分の髪に触れた。 「そんなに驚く事ですか?」 「これは凄いことだぞ!2属性の同時使用をする人は居るけど、それらを合わせて新たな魔法を使うのはディラントが初めてだ」 そう言ってオルトは俺の手を掴んできたかと思ったら、興奮気味に詰め寄ってくる。 その時のオルトはちょっと怖かった。 俺たちは気を取り直して森の奥に進んだ。 森の中は葉に着いた朝露が朝日を反射してキラキラしていて、空気もひんやりしてるけど寒い訳じゃなくて清々しい。 オルトと森を歩いていると、ふとあることを思い出した。 「そういえば、オルトは魔法は使わないんですか?」 オルトは今まで剣だけで魔法を使っているところを見たことがない。 ゲームの中のオルトも魔法を使っている描写は無かった。 「俺は魔法が苦手なんだ。魔力操作が不得手らしい」 ……あぁ、魔力操作って結構繊細だったりするんだよね。 俺はオルトの性格から、妙に納得してしまった。

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