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第236話 ∥
(オルトside)
明け方、剣の素振りをしていたらディラントが歩いているのに気が付いた。
こんな朝早くにどうしたのかと聞くと、散歩と返ってきた。
俺は早々に訓練を切り上げて着いていくことにした。
俺は汗を流す事と、着替えをするために一度邸に戻った。
ディラントを待たせては悪いと思って、俺は外の井戸で水を浴びて着替えを済ませると急いでディラントの元に戻った。
ディラントの元に戻ると、ディラントは木々を見上げていた。
陽の光を浴びて、ディラントの姿がキラキラと浮かび上がる。
俺はその姿に見惚れた。
俺に気付いたディラントが駆け寄ってくる。
ディラントは俺を見るなり、驚いた表情を見せた。
俺は素振りでかいた汗を流すために井戸で水を浴びた。
ディラントを待たせてはいけないと思って、頭を軽く拭いて着替えを済ませて早々にディラントの元に戻った。
拭いたとはいえそれは不完全で、俺の髪からはポタポタと水滴が落ちていた。
ディラントはその姿に驚いたようだ。
ディラントが呆れたように手を差し出したかと思ったら、ふわっと温かい風が吹いて濡れていた髪があっという間に乾いた。
噂には聞いていた。
学院で唯一、ディラントだけが使えるという他属性を合わせた混合魔法。
「……良いな」
俺は魔法が苦手だ。
使えなくはないけど、俺が魔法を使うと思った以上に強くなる。
何度周りの物を壊したか分からない。
原因は魔法操作らしいけど、よく分からない。
「オルトだって練習すれば出来ますよ」
「魔法は上手く制御出来ない」
ならば、使わない方が良い。
「最初から上手くやろうなんで思わなくて良いんですよ。ていうか、上手く出来なくて当然です。労せず身に付いたものなんて、いざという時にあてになりませんよ」
そう言ってディラントは笑う。
「……そうか、なら俺も魔法の練習をしてみるか」
「俺も付き合いますよ。っていっても、俺なんかが役に立てるかは分からないけど」
そう言ってディラントは困ったように笑った。
素朴な疑問だった。
ふと、何故ディラントが混合魔法を使うようになったのか疑問だった。
聞いてみるとディラントは魔力が弱く、何とか使い物にならないかと考えた結果らしい。
本来、魔力が弱いと言われたらそこまでだ。
大半の者がその事を受け入れ、努力しようとすらしないだろう。
でもディラントは違った。
見せて貰った混合魔法を使わないディラントの魔法は、火を灯したり、水を出せたりとかろうじて生活に使えるかといった脆弱なものだった。
それを何とかしようと努力したディラントを素直に凄いと思った。
その事を伝えると、ディラントは少し照れたように笑う。
でもその後、ディラントの顔が青ざめた。
さっきまで普通だったディラントが、突然ただならぬ様子に変わる。
ディラントのただならぬ様子に、俺まで不安が募る。
俺はディラントに気を取られ、気付けなかった。
突如、茂みから白い何かがディラント目掛けて飛んでいった。
俺は慌ててディラントの名を呼ぶ。
俺の声に気付いたディラントがかろうじて飛んでくる何かを避けた。
でもその瞬間、ディラントの体が大きく傾いた。
俺は咄嗟にディラントに向けて手を伸ばした。
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