241 / 247
第237話 ∥
突然のことで体が動かなかった。
崖があることも気付かず、足を踏み外すなんて。
そのまま落ちるしかない俺は、咄嗟に体を縮めて落下の衝撃に備えた。
バサバサと木があたる音する。
ドサッと音がして、崖下に落ちたのが分かる。
でも衝撃はあったものの、痛みがそれ程ない。
木がクッションになったのか。
それでも衝撃が小さすぎる。
そう思って、俺はゆっくりと目を開けた。
目を開けると、飛び込んできたのは気を失ってるオルトの姿だった。
「オルト!?」
なんでオルトが俺の下に?
もしかして、俺を庇って?
「オルト!オルト!!」
俺は気を失ってるオルトの肩を叩いて呼び掛ける。
見た感じ大きな怪我は無さそうだけど、もしかしたら頭を打ってるかもしれない。
……どうしよう、本当は人を呼んだ方が良いんだけど、どこまで落ちたのか分からない。
俺は落ちた崖を見上げた。
……とても登れそうにないな。
「……んっ…」
そんな事を考えていると、下から微かに声がした。
「オルト!?」
俺はもう一度オルトの肩を叩いた。
何度か肩を叩くと、オルトがうっすらと目を開けた。
「オルト!」
「……ディラント……?」
オルトの意識が戻って俺を認識してくれたことで、俺はホッと息を吐いた。
「オルト、どこか痛いところはないですか?」
起き上がろうとするオルトにそう聞く。
「大丈……っ…」
オルトが一瞬、顔をしかめた。
「どこか痛むんですか?」
「……足が」
「足?」
……もしかして、折れてるとか?
「ちょっと見せてください」
俺はオルトの靴を脱がせて、そっと足に触れた。
足首に触れると、オルトが顔をしかめる。
……折れてはなさそうだけど、赤く腫れてる。
「折れてはいないみたいなので、恐らく捻挫だと思います」
でももしかしたらヒビが入ってるかも……
何かで固定した方が良さそうだな。
そう思って、俺は周りを見回して手頃な木の枝を探した。
ともだちにシェアしよう!

