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第237話 ∥

突然のことで体が動かなかった。 崖があることも気付かず、足を踏み外すなんて。 そのまま落ちるしかない俺は、咄嗟に体を縮めて落下の衝撃に備えた。 バサバサと木があたる音する。 ドサッと音がして、崖下に落ちたのが分かる。 でも衝撃はあったものの、痛みがそれ程ない。  木がクッションになったのか。 それでも衝撃が小さすぎる。 そう思って、俺はゆっくりと目を開けた。 目を開けると、飛び込んできたのは気を失ってるオルトの姿だった。 「オルト!?」 なんでオルトが俺の下に? もしかして、俺を庇って? 「オルト!オルト!!」 俺は気を失ってるオルトの肩を叩いて呼び掛ける。 見た感じ大きな怪我は無さそうだけど、もしかしたら頭を打ってるかもしれない。 ……どうしよう、本当は人を呼んだ方が良いんだけど、どこまで落ちたのか分からない。 俺は落ちた崖を見上げた。 ……とても登れそうにないな。 「……んっ…」 そんな事を考えていると、下から微かに声がした。 「オルト!?」 俺はもう一度オルトの肩を叩いた。 何度か肩を叩くと、オルトがうっすらと目を開けた。 「オルト!」 「……ディラント……?」 オルトの意識が戻って俺を認識してくれたことで、俺はホッと息を吐いた。 「オルト、どこか痛いところはないですか?」 起き上がろうとするオルトにそう聞く。 「大丈……っ…」 オルトが一瞬、顔をしかめた。 「どこか痛むんですか?」 「……足が」 「足?」 ……もしかして、折れてるとか? 「ちょっと見せてください」 俺はオルトの靴を脱がせて、そっと足に触れた。 足首に触れると、オルトが顔をしかめる。 ……折れてはなさそうだけど、赤く腫れてる。 「折れてはいないみたいなので、恐らく捻挫だと思います」 でももしかしたらヒビが入ってるかも…… 何かで固定した方が良さそうだな。 そう思って、俺は周りを見回して手頃な木の枝を探した。

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