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第5話
真っ裸の少年が落ちてくる。
予定通りだった。
マットの上に着地する。
それと当時に開いていた荷台の天井を閉めた。
これで、宅急便の配達のトラックにしか、傍目には見えない。
少年は血塗れだった。
そして、乳首を尖らせ、尻の穴からは精液をこぼして・・・。
ベータにはオメガのフェロモンはアルファほどは効かない。
だが、少年のフェロモンはきょうれつだった。
でも、フェロモンじゃなくても。
勃つ。
彼は。
淫らでいやらしすぎる。
バスタオルを投げつけた。
ガチガチになってるから前かがみになりながら。
「後でさせてやるから、我慢してろよ」
少年は妖しく笑いなからバスタオルで血を軽くふきとる。
洗わないととれない。
血は水とは違う。
だか、目にはいったり髪から血が滴るのは嫌なのだ。
「出るぞ!!」
タクは少年に言った。
警察が来るのは遅いはずだ。
何故ならアルファがベータを犯して殺していると思っているからだ。
アルファのすることにほぼ警察は手を出さない。
おそらく、していた物音も悲鳴も。
アルファがベータを貪っている音だと思っているはずだ。
だから。
その階には誰も近づかない。
血まみれで裸の少年がホテルの通路を歩き、窓から裏道へと飛び降りても誰も気付かない。
おそらく。
防犯カメラさえ切ってあるはずだ。
アルファのために。
アルファは人間に何をしても罪には問われないのは周知のことだが、わざわざその証拠を残すこともないのだ。
それを彼は利用した。
彼がしたことも残らない。
「俺、風呂に入ってなんか鍋食べたい」
運転席に向かうタクに少年は言った。
「知らねーよ!!」
タクはそう怒鳴ったが、運転席に座りながら、家にある材料で鍋を作れるかと考えていた。
少年は風呂に入り、鍋を食べたなら。
タクとする。
するだろう。
ガチガチになりすぎて股間が痛い。
でも。
少年を抱くことを考えるだけで、頭がおかしくなる。
欲しい。
欲しくてたまらない。
これが。
オメガか。
恐ろしい、と思った。
トラックを発車させた。
犯行現場から逃げるために。
自分が何をしているのかはわかっていた。
わかっているのに止められなかった。
ダメだ。
本当にダメだ。
でも。
もう巻き込まれてしまっていた。
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