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第8話

 「タク・・・タク・・・挿れて」   甘えるように強請られた。  その言葉に出会った時のことを思い出していたことに気づく。  少年とのセックスは時間や思いさえ入り乱れてしまう    突っ込みたい欲と、その身体を味わいたい欲が拮抗していた。  挿れてしまったなら味わなない場所を、もっと味わいたくて、でも挿れて貪りたくて。  それが少年の言葉で決壊した。  細い脚を押し広げた。  でも、この小さな身体に押し入るのはいつも・・・躊躇する。  タクなんかのモノよりも凶悪な・・・死体のそれを見た時、思わず顎が外れるかと思う程驚いたアルファの性器を受け入れられる場所なのに。  「痛かったら・・・言えよ」   そう言ってしまう。      ダメだ  ダメだ、  そう思って泣いてしまいそうになる。  自己嫌悪と、引き裂く子供への申し訳なさ。    だって。    少年は小さくて。     壊れそう。  全てがいやらしいのに。  大人の女よりも何もかもが。  いやらしいのに。  でもこの瞬間だけは。  いつも躊躇してしまう。  だって子供だ。  「タク。俺がお前をほしいんだ。間違うな」  少年は上目遣いでタクを睨みつけ、でも次の瞬間、微笑む。  この瞬間にしかみせない顔。  嬉しそうな。  子供みたいな。    余計に罪悪感にとらわれるタクに、自分から脚を腰に絡めて欲しがってくる。  「タク・・・欲しい。欲しいんだ」   そう囁かれたから、タクは少年の中に身体を沈めていく。    すごい。    スゴすぎる。    タクは呻く。  締めつけ蠢き、絞りとる。  タクは耐える。  ダメだ。  達しないように根本を指で押さえつけ、動く。  「タク、気持ちいい?」  少年は囁いてくる。    少年は不用意に動かない。   少しでも少年に動かれたなら、タクが達してしまうのがわかってるから。  アルファじゃないから。    タクではオメガに耐えられない。  初めて、タク【を】少年【が】犯した時、少年はタクが自分の中でタクが射精し続けることを止めさせなかった。    タクは殺されるところだったのだ。  今では、タクを良いように使っているけど、あの時のように貪りにはこない  何故?  アルファ程ではないにしても、快楽を味わうためなら、あの時みたいにタクを使えばいいはずなのに。  少年はタクが動くのに、うっとり目を綴じて感じるだけだ。  貪らず。    「こんなんで・・・いいのか?」  思わず聞いてしまう。  男としては悲しいが、セックスでアルファやオメガに叶わないことはもうわかってて。  いや、アルファとかベータとかをおいてでも、「優しいね」としか、数少ない恋人達に言われてこなかった自分のセックスに自信があるわけではない。  「気持ちいいよ。タクも?」  少年が微笑んだ。  そこは。  本当に本当に気持ち良くて死にそうなので、頷いた。  んっ  ふうっ  少年が気持ち良さそうに喘ぐ。  アルファとしているときの壮絶さはない。   だから、可愛くなって。    抱きしめなからその中に放った。  ちゃんと少年は感じてくれた。    「もう一回」  強請ってくれた。    タクがこの関係に今でも躊躇しているのを知ってるから。  「タク・・・俺はオメガだ。子供じゃない。もっと小さい頃からセックスしてる」  少年はそう言う。    その首の印。   それがもっと子供だった時につけられたモノなのかはまだ聞けないが、そうだろう。    センターで育てられたオメガは、性交が可能になればすぐにアルファとマッチングされるから。    「タク。して?」  入ったままのそこを揺すられたなら、タクは簡単にまた硬くしてしまう。  「タク・・・タク・・・」  少年はタクの名前を呼ぶ。  タクは夢見心地で少年の中で動く。  熱い。    甘い。  恋人のように。  少年の名前は知らない。  名前を呼ばれても呼びかえせない。  オメガの名前はその主人のみが知るものだから。  「お前でいいよ。どうせ、二人きりなんだし」  そう少年に言われた時は、居座るつもりかと怯えたけれど。  可愛い。    そう思った。  少年の中で動き、しっかり抱きしめている時は、そう思ってしまう。  オメガなのに。  しかもアルファを殺してまわってるヤバいオメガなのに。  だから。  キスだけはしない。  恋人ではないのだと、それだけは自覚するために。  「・・・タクぅ」  甘えるように名前を呼ばれて、歯を噛みしめてイかないように耐えた。  誰かの、おそらく、オメガの主人の歯形がある首筋を噛んだ。  タクが付けた歯形と大きさが全然違う。  巨大なアルファだったのだ。  アルファの例に漏れず。  今より小さな少年を所有したのだ。  アルファは皆、2メートル近い。  タクの歯形は消えてしまうだろう。  だがアルファの歯形は消えない。    一度主人になったアルファは、肉体的には死んだとしてもそのオメガを所有するのだ。    何故か少年は誰にでも効くフェロモンを放ち続けているけれど、本当に性的に満足出来るのは、主人とのセックスだけなはずだ。    歯形をみなから胸が痛む意味もわからない。  でも、だからキスはしない。  他人のオメガなのだ。  でも。  どうせ、もう。  逃げられなくなってた。              

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