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第11話
「なんでアルファ殺しなんかしてるんだよ・・・」
また聞いた。
オメガの中でたっぷり放った後で。
妊娠はしない、とオメガは言った。
噛まれたアルファのための身体になっているから、と。
そのアルファ以外は受精できないのだと。
だからタクはいつも中で出す。
タクに中で出されるのを少年が喜ぶから。
タクは何度でもその奥で出したのだ。
「・・・アルファで病気持ってるヤツはいないから安心しろ、俺と生でしても病気の心配はない。アルファ以外とはもうしてないし」
少年はアルファとしている身体をタクに抱かせることに少しは気まずさがあるらしく、早口でそんなことを言ったりもした。
アルファとしてる少年をもう何度も見ていた。
「しないと、あいつら殺せないんた。セックスの最中じゃないと殺せない・・・」
言い訳みたいに何度かタクの腕の中で少年は言った。
何故か、モゾモソしながら。
舐めて、とか、奥までゴリゴリして、とか、乳首弄ってとかは平気で言うくせに。
「殺すの止めればいいだろ」
心の底から言った。
マジそれ。
それ以外ない。
「その選択はねーわ。俺は死ぬまでアルファを殺す。出来れば全員な。今は一人一人殺してるが、アルファを滅ぼす方法をみつけたい」
少年は言った。
理由も教えてくれた。
「アルファがいなくなりゃ、オメガも要らなくなる。オメガの育成は難しいからな、管理しなけりゃ、大人になるまでに死ぬ。アルファのためじゃなきゃ、そこまでして育てるヤツはいない。ベータにオメガはコントロールできないし」
まあ、少年の言う通りだった。
オメガは操作された生命体だ。
ベータからも生まれるとしても。
成人させるまで、安定したオメガを育成するのは大変なのだ。
「俺はオメガもアルファも消し去りたいんだ」
それが少年の理由らしい。
「でも、アルファがいなくなったらこの世界は、昔みたいに戦争や紛争や差別のある世界になる・・・」
学校で習った通りにタクは言ってみた。
少年は鼻でわらった。
「ベータ同士で殺しあって滅びりゃいいんだよ。アルファに支配されて、そいつらにオメガを差し出して成り立つ世界より、滅びた方がいい」
少年は。
端的に言って。
オメガやアルファがいなくなることはもちろん。
この世界の破滅を望んでいた。
何人ものアルファを殺して、何故まだつかまらないのかも説明してくれた。
奴らがアルファだからだと。
オメガに、しかも、たった一人て乗り込んできたオメガに、アルファが殺されたなどということが、アルファには認められないのだ、と。
認めたくないのだと。
ある意味、オメガに殺されるようなアルファは死んでしまった方がいいと思っているのだと。
オメガを犯している最中にしぬようなアルファなど死んでも仕方ないと。
「奴らは俺らオメガとも、あんたらベータとも、考え方が違うんだよ。あいつらは思考回路が別なんだよ。まあ、確かに。美しいとも言えるね」
少年は笑った。
そのアルファの思考回路を利用して少年はアルファを殺しているのだ。
アルファが本気になれば、少年位すぐに捕まるだろう。
だか、アルファはベータの警察官達に殺害現場を調べることさえ許さない。
事件はアルファによってもみ消される。
オメガによるアルファ殺しなどあってはならないからだ。
オメガはアルファに貫かれて、よがり喜ぶものでなければならない。
従うべきアルファを殺すものなどであってはならない。
それをアルファが許すことはもっと、あってはならない。
アルファの間には回っているはずだ。
危険なオメガがいることを。
だが、本気でそれに備えるアルファがどれだけいるか。
アルファがオメガをおそれる?
有り得ない。
少年はそのアルファのアルファたるところを逆手にとって殺してまわっているのだ。
「殺す意志さえあれば、オメガはアルファをいくらても殺したい放題なんだよ」
少年はタクの胸に顔を寄せていう。
殺す意志かあるオメガなんか。
いるはずもないのに。
でもいたのだ、ここに。
「今いるアルファを全員殺したところで・・・また生まれる」
タクは当たり前のことを言う。
割合こそ僅かだが、ベータてあろうがオメガであろうが、アルファは人類から生まれるのだ。
「一度、すべてのアルファがいなくなった後で、誰がまたアルファを必要とするんだよ」
少年は冷たく笑った。
「支配者達がいなくなりゃ、誰が化け物に支配されたいと思うかよ。支配者に成り代わりたい奴らが這い出てくるさ。そして、生まれる前や、生まれてすぐなら・・・アルファは弱い生き物だぜ」
少年の言葉は恐ろしかった。
タクはでもそれが真実だとわかった。
人類は。
生まれる前に、生まれてすぐに、アルファを排除するだろう。
どんなに今の世界が、支配されている世界が素晴らしくても。
そして、そう。
みんな。
その異形の生き物達を恐れてきたのだ。
本当は。
人類は異質なものを排除する。
そういう生き物だ。
「アルファはそんなには生まれないんだ。今俺が殺して回ってるから、通常以上に死んでるんだ。俺が殺した数よりも多く生まれることはねーよ。まだ、一体ずつだけどな、これしかまだ方法はねーけどな、必ず全員滅ぼしてやる」
少年はそう言いながら、タクのを性器を指で弄りだした。
「やめろ・・・ああっ」
タクは喘ぐ。
なんて指だ。
もう散々したのに、またこの指で弄られたなら勃ってしまう。
「タク・・・タク・・・お願い」
甘えられたら。
拒めない。
まだ。
罪悪感はある。
小柄な少年の中に沈みこむのは。
そこがどんなに甘い場所でも。
躊躇して、でも、そうしてしまう自分を嫌悪する。
25才の男が15位の子にこんなこと・・・、
そう思ってしまう。
「オレなんかで・・・いいのかよ」
そこは自信なく言う。
オメガだ。
アルファだけが本来は触れられる高嶺の花だ。
ベータの男なら、実物を見ることもほぼないが、話に妄想をかきたてられて想像で絶対オナニーはしたことある存在だ。
確かに。
少年は。
タクが見たことのあるどんな女の子達より綺麗で可愛くて。
エロかった。
「・・・して」
少年はタクの背中に腕を回して、脚を腰に絡めてくるから・・・。
またタクは少年の中に沈み込み、溺れた。
オメガはすごい。
オメガの身体は。
タクは怯えながら夢中なって、腰をふり続けた。
でも。
キスはしない
こんなセックス・・・間違ってるから。
でも。
止めることができない、
少年を止めることもできない。
ヘタレだ。
ヘタレだ!!
タクは成り行きまかせの自分を呪った
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