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第12話

 少年は大事なことは何も話さない。  昼、どこにいるのかもわからない。  一日中、タクの部屋でゴロゴロしているかと思えば、夜遅くに帰ってきて、タクのベッドに潜り込んでくる。  毎日のようにタクを求めることだけは変わらなかったけれど。  抵抗できるわけがない。  挿れたたけでイキそうになるあの穴の魔力を知ってしまえば。  あのどこを舐めても甘い身体の味を知ってしまえば。  アルファ殺しに対する懊悩よりも、まだ幼い身体を抱いてる懊悩のが強い。  のた打ち回りたくなる。  アルファに関しては、自分の命がヤバい、死刑、とかそういう考え以外は出てこなかった。  アルファが殺されるということ自体が死体を見た今でも納得出来てないのだ  だって、アルファだぞ?  そして、怖れる。  アルファが殺人自体を見逃しても、殺人直後の少年やタクを見つけた警察は見逃さないだろう。  何より、タクはオメガと一緒にいる。  オメガを所有してもいいのは。  アルファだけなのに。  これは死刑。  死刑決定。  しかも、オメガとしてる。  絶対、死刑。  「出ていってくれよぉ」  今日もタクは少年に畳に頭をこすりつけて頼む。  「嫌だ。俺はお前が気に入った」  何故かそこだけは少年は明快で。  「俺とすんの、嫌いじゃねーだろ、な?」  そして、甘えるようにしなだれかかられ、その匂いにやられる。   オメガの匂いだ。  でも耐えるのだ。  耐えてはみるのだ。  震える腕で押しのけようとはするのだ。  でも。  ズボンを下ろされ、   咥えられたなら、あの小さな綺麗な唇に咥えられたなら。  もうダメで。  「腰揺れてんじゃねーか。ガチガチだしよ」  そういいながら舐められたなら。  「ほら、喉まで使ってやるから自分でも動け」  そういいながら頬ばられたなら。  舌でチロチロ舐めながら、唇で扱かれ、喉おくまでつつかって動かされ吸われたら。  ううっ  ううっ  タクは泣きながら達してしまうのだ。  少年の喉に放ってしまうのだ。  「泣くなよ・・・気持ちよくしてやってんだ。なあ、なあ、好きだろ?これ?なぁ?」  少年はタクが泣くといつも少し焦る。  でも泣く。  泣いてしまう。  ここまでセックスに負ける自分が嫌で。  「泣くなよ・・・タク、なあ」     焦る少年の性器が勃って濡れそぼっていて、その乳首が尖っていて、おそらく穴も濡れている・・・。  疼く身体の要求より、タクが泣いてることに焦る少年に、タクは何故か安堵するのだ。  「お願い・・・して?タク。俺、したい・・・」  そう言われて、何だか、胸が痛んで、つらくなって、結局、セックス始めてしまってうやむやになる。  少年がタクを必要としているのはわかった。  セックスの相手としてはもの足りないだろうに。  だって、タクはアルファじゃない。  でも。  少年はタクを求める。  アルファを殺して、タクを求める。  その意味もわからなかった。  少年は余計なことは何も言わず、タクの家に居座り続けていたのだった。

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