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第13話
今日も泣いてるタクに自分を抱かせて、少年はご満悦だった。
泣いて嫌がれるのは、正直気に入らないのだが。
この自分を抱かせてやってるのだ。
こんなに可愛がって気持ちよくしてやってるのに。
でも、泣いてるタクに感じる気持ちは何なのか。
たまらなく、胸の真ん中がかき回されるのに、甘い。
欲情するのとは違う。
でも、欲しくなる。
センターにいた自分をアルファどもは欲しがった。
番がいるアルファでさえ。
アルファらしく殺し合って自分を誰が得るのかを決めた位だった。
ーーーアイツはアルファの血にまみれた身体のままで、俺に押し入ってきた。
あの時泣いたのは・・・俺だったーーー
まだ何も知らなかった頃のことを思い出して、思い出したくないアイツのことを思い出して、オメガは頭を振った。
思い出したら、あんな記憶なのにこの身体はそれを欲しがるからだ。
だが、アルファを殺せばアルファを減らせると気付いたのもあの時だった。
殺し合ったアルファの死体の側で犯されながら。
そして、アルファが消えれば、オメガも消えると。
そこから始まった行為。
身体の奥底まで犯されて、何度も何度も放たれて。
そのために創られた愛玩具だと思い知らされて、でもそれが好きだと教えられて。
快楽に自尊心をぶち折られた夜に決心したのだった。
アルファは全員ぶち殺すと。
外に出て、ベータにも自分の魅力は通じることはわかった。
こんな風に生まれたのだから、それを使うしかないと思った。
そして始めた。
殺戮を。
・・・タクが泣くのが好きだ。
タクは。
タクだけは。
あの日、産まれてはじめての発情に怯えて泣いていた子供を。
でも、怖かった子供を。
無理に抱いたりはしないから。
タクなら、泣いて逃げただろう。
勃起したそれに前かがみになりながら、子供が泣いて嫌がっていたのなら。
子供に抑制剤を与えて、落ち着かせてくれただろう。
でも。
現実はそうじゃなかった。
見たこともなかった凄まじい性器で貫かれることから始まった。
あの快楽は恐怖の記憶と共にある。
だから。
だから。
タクとするのが好き。
子供を犯すことを怖がるタクが好き。
いい加減にうけいれろよ、と思うが。
正直、タクとのセックスだけで治まることはなく、抑制剤を使っているが、発情をおさめるためだけにセックスはあるんじゃないことを少年は知ったところだ。
タクは可愛い。
作戦に巻き込み、共犯にして、もう逃がすつもりはない。
タクは本当には何に巻き込まれているのかわかってないし、少年が一人で動いていると思っているが、そこはわからなくていい。
あれは俺のだ。
少年はそう思っている。
泣いてるタクが、最後には夢中になって自分に溺れるのを見る充足感は、アルファとのセックスでは絶対にないものだ。
タクとするようになってから、ベータとはしてない。
タクだけだ。
可哀想だけど、タク。
お前は俺の道連れだ。
少年は決めている。
まだタクは知らない沢山のことを見据えて、少年はそう決めたのだ。
そこにタクの意志はない。
気の毒に思ったが仕方ない。
少年の求めるものは最初から正義などではないからた。
少年と共に動いている連中とは違って。
少年は次のアルファ殺害計画をたて始める。
早く。
もっと沢山殺せる方法を。
なんとか考えないと。
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