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第14話

 アルファは巨大な寝台に向かう。     黄金の肌。  赤い髪。  アルファに多い多腕も、複眼も、獣相も、背中に生えた翼も、鍵爪のある脚もない。  巨大ではあっても彫刻のような肉体。  通った鼻筋、美しい口もと。  アルファでも珍しい、単眼、顔の真ん中に一つだけの目であることと、その黄金の肌以外は、美しい人間のようにみえた。     いや。    美しかった。  アルファの外見に畏敬を覚えはしても、人間は自分達の基準の美しさをアルファに当てはめたりはしない。  だが、このアルファを、その異様さに驚きながらも、人間は美しいと思っただろう。  確かに異形のそれではあっても、だ。  一つしかないその目は宝石のように美しい青だった。  だから、寝台の上のオメガはもう蕩けている。  オメガの身体を満たすのはアルファだけだ。  でも、聞かされていても、知ってはいても、初めての時にはアルファ見て、オメガ達は泣いて怖がる。  アルファからのフェロモンで欲情しきってはいても。  沢山の手のある、牙の生えた複眼の化け物。  沢山の脚を持つ、ムカデのような下半身に巨大な性器を生やした化け物。    それらが、年端もいかないオメガ達に襲いかかってくるからだ。  それでも感じ、乱れて、欲しがり、自分達がこのアルファ達の所有物であることをおもいしらされる。  だが、  このアルファは美しかった。  抱かれてもいいと思うほど、美しかった。  だからオメガはうっとり目を閉じた。      この人のモノになる。  首筋を噛まれてこの人専用のオメガになる。  それは喜びだった。   もっと怖いアルファと番にされたかもしれないのだから。  濡れてた。  穴が欲しがってた。  自分で穴と前を弄り、軽くイキながら、アルファが自分を抱いてくれるのを待っていた。  初めての発情期。  こんなアルファが自分の主人で良かった。  心から思った。  そう思えた。  甘い言葉はささやかれた。 約束の言葉と。  そして、乱暴に突き入れられた。  自分の指以外は挿れたことのない場所を、巨大で瘤だらけの性器で貫かれた。  でも。  オメガは、それでも感じた。  まだ幼い、やっと11か12になるかの少年は、それで達した。  幼い性器から射精し、ちゃんと中なかからでもイった。  貫かれただけで。  細い背中をそらし、小さなつま先までそらして。  ちゃんと感じてみせたのに。    「ああ、ダメだ。アレの代わりにはならない・・・」  アルファは失望の声を上げた。    それはオメガの耳に届いたかどうか。  それでも、少年は身体を痙攣させながら、白目を剥き、舌をだらしなく口から覗かせ、腰を揺らしていた。  「だが、まあ仕方ない」  アルファはため息をつき、でも容赦なく小さなオメガの身体に腰をぷつけはじめた。  ああっ  ひぃっ  許してぇ  オメガが鳴き始める。  涎を流し、涙を流し、鼻水まて流して。    でも中は痙攣し、締まり、蠢き、感じていることを伝えてくる。  アルファは思う。  オメガはオメガだ。  これはこれて使わないと。  代わりにはならなくても。  このオメガを手に入れるために、またアルファを殺さないといけなかったのだから。    アルファは増えない。  互いに殺し合うから。  特にオメガを巡って。  代わりにはならなくても、初めての快感に狂うオメガを使うのは楽しかった。    逃げようとする身体を押さえつけて、さらに奥まで教え込む。  ほら、子宮口をついてやる。  無理やりそこを開くのは楽しかった。    「ゆるじでぇ・・・いやぁ・・・ダメぇ・・・」    オメガは矢で貫かれた獲物みたいに痙攣する。  だが勃起したままのそこからは、壊れた蛇口みたいに白濁を垂れ流している。        「子供を生ませてやる、私のな」  アルファはそう囁いた。  性交は可能になっても、完全に身体が出来上がるのはもう数年かかるだろう。     そうなったなら、子供を生ませる。     アルファはオメガに子供を産ませることを好む。  それから得られる充足感は、アルファにしかわからない。  子宮口をこじ開けたなら、オメガは失禁して意識を失ったが気にすることはない。  揺さぶりつづけたら、そのうち目を覚ます。  吸い付くそこで楽しんだ。  「代わりにはならないが、これからは毎晩抱いて可愛がってやろう」  アルファはオメガの中に注ぎ込みながら、聞こえてない耳にむかって囁いた。  初めてのオメガを抱くのは楽しい。  知らない快感に恐怖しているのがいい。  項に歯を立てた。  みしりと、骨に当たるまで噛み締めた。  何かがカチリと嵌まる感覚が、した。  アルファだけではなく抱いているオメガにもそれはあったはずだ。  血の味と共にそれを噛み締めた。  魂まで、突き入れた感覚。        魂まで犯しきったこの感覚。  自分だけのオメガ。  この瞬間だけは歓喜する。    アルファは人間、ベータ相手だったなら腹を突き破り殺してしまうような突き上げをはじめた。   小さな少年は、その衝撃に意識を取り戻し、泣き叫び続ける。  「きぼぢいい・・・イグゥ・・・」   助けを求めて伸ばす手に与えられるものはない。  ただ、快楽と支配だけが、押し潰すようにオメガの少年を苛んでいく。  「お前は私のものだ、言え、私のものだと」  アルファの言葉に、オメガは言われるがままくりかえす  「オレはあなたのモノです・・・あなただけの・・・」  言えば褒美に、もっと手酷く犯されて、もっと深くイカされた。  犯されていた。    とても酷く。  支配されていた。    とても深く。  自分が何なのを思い知らされていた。  これが、アルファとオメガなのだと。   「いずれ、アレも私の元に帰ってくる」  アルファはオメガの目の中に支配の完了を観てとり、満足しながらそう呟いた。  アレも今度こそこうする。  アレは私のものだ。  今でさえ。  アルファは身体の向きを変え、オメガの中をまた楽しみはじめた。  オメガの少年はそれに、凄まじく気持ち良いそれに、涙を流しながら耐えていた。      

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