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第26話

 タクを味わった。  タクを怖がらせないように、繊細に。  貪り殺してしまわないように。  コントロールする。  でも、味わう。  胸がフワフワして、泣きたくて、幸せになる。  タクをゆっくり締め付けて、その形を味わう。     「ああっ」  タクが背中を反らす。  でも縛ってあるからイケない。  でもタクは必死で腰を振る。  可愛いタク。   優しいタク。  こんなになっても、少年を思いやりながら動いているのがわかる。  気持ちいいのか。    痛くないのか。  「気持ちいい・・・」  少年は心から言う。  タク以外では、この多幸感はない。  アルファとのセックスではこんなモノはない。    タクの髪をなでる。   縛っている紐を解いてやった。  同時に蠢き、絞り取った。    タクは叫びながら放つ。    それを身体に受け入れる。  タクの精液を受け入れる。  これが子宮に入って。  タクの子供になればいいのに。  少年は不可能なことをねがった。  オメガはアルファとしか子供が作れないのに。  でも欲しかった。  だから、一滴も余さず、絞りとった。  タクが身体の上に崩れ落ちてきた。  気絶しそうだ。  手加減はしても、今日は作戦の実行までしたのだ。  もう、許してやり、寝かしてやることにした。  だけど、気を失ったタクの身体で、もう一度だけ楽しみはした。  軽く。  タクの精液が中にもっと欲しかったのだ。  寝ているタクにキスもした。  タクは起きてる時はキスだけはしてくれないから。  尊重はして、無理強いはしない。  寝てる時は別だけど。  「俺が好きだろ?」  少年はタクを抱きしめながら囁く。  危険な作戦も実行してくれる。   抱く時はこんなに優しいくせに。    「好き」以外の答えを許すつもりはなかったけれど。  寝ているタクに聞くのは、それでも、少し怖いから。  「お前の子供が生みたかった。ねぇ・・・タク、俺はもうすぐ大人になるよ。お前の基準で。この身体だってデカくなる」  オメガは子供が成せるようになれば大人だし、アルファ達はまだ未熟なオメガも性的にみて、自分の番の候補を探していた。    外に出ても、ベータは自分を性的に見て欲しがる。    タクだけだ。  怖がるのは。  子供扱いしたのは。  いや、しようとしたのは。    タクだけ。  子供を引き裂くのを、タクは嫌がった。  そんな風に扱われたことはなかった。  だから、タクが好き。  「大人になったら・・・怖がらないでくれるか?」  眠るタクに少年は囁く。  早く大人になりたかった。  タクのいう大人の身体になれば、タクは泣かずに自分を抱いてくれるだろう。  お前の子供が生みたい。  お前に怖がられすに抱かれたい。  離れたくない。  放したくない。  この感情は大きいのに、それに名前をつけるのを少年は嫌だった。  「愛してる」  の一言ですむことなのに。  眠るタクを抱き締める。    そして、眠りにつく。  いい夜だった。  アルファを殺して、タクと寝る。  最高の夜だった  

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