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第29話
「舐めていいんだぞ・・・好きなだけ」
優しく囁き、少年は自分で乳首を弄ってみせる。
赤くぷっくり熟れたそこを。
指で摘まんで見せつけられ、撫でるだけでは我慢がきかなくなって、タクはむしゃぶりついた。
ああ、これが欲しかった。
舐めて噛みながら思う。
この味と感触。
他の何でも変えられない。
オメガの胸は、女の胸よりいやらしい。
微かに隆起した胸はいつまでも撫でていたくなる感触で、発達した乳首は咥え、吸うのに丁度いい。
甘く噛むと、果実の甘さが沁みでてくるかのよう。
甘い。
甘い。
確かに甘い。
「ここ、好きなんだろ・・・いいよ、好きなだけ吸え」
甘い声は、声変わりしてない少年のもので。
いたたまれなくなるのに。
指を入れてかきまぜているその穴は、大人の男よりも巨大なアルファのものでも受け入れられる穴なのだと、知っていても、ても、だ。
胸をむさぼり、穴を指で楽しんだ。
すっかり教え込まれたから、どこを擦ればこの身体が喜ぶかも知ってる。
そこを擦る。
「タク・・・いい、いいよ・・いい」
少年がリラックスして感じている。
少年にはこんなセックス、マッサージ程度なのだとわかるのは悔しいが、でも仕方ない。
少年が本当に楽しめるのはアルファとのセックスだけだ。
そんなことはわかってる。
でも、穴が締め付けてうごめくのを指は感じる。
ああ、これをされる。
性器を入れた時の感触を思い出し、悶えてしまうのはタクだ。
「タク・・・タク・・・挿れて」
強請られるのが怖い。
いつだって怖い。
自分の妹と変わらない、幼い少年を犯すのが怖い。
いくらいやらしくても、本人がのぞんでいても、それでも。
これは、子供だ。
オムライスを欲しがる子供だ。
わがままで、愛情を欲しがる。
人を試すことでしか愛情を測れない、可哀想な子供だ。
躊躇する。
いつだって。
「嫌だ・・・」
タクは泣く。
オムライスを作ってやるのとはこれは違う。
テロを手伝うのも違うともおもうが、タクにはそれよりこれの方が罪深い。
だって子供だ。
寂しがってる子供だ。
誰にも助けられることのない子供だ。
「タク・・・タク・・・して」
本気で欲しがられて。
飢えた目で見られて、
救いを求められて。
またしてしまう。
また。
タクは少年の中にゆっくりと沈んでいく。
熱くて狂ってしまうかと思うほどきもちいい。
始めて入った時は挿れただけで、出してしまった。
それでも硬度は変わらず、そのまま、何十回も出させられ、死にかけた。
今はほら、少年が紐で根本を縛ってくれる。
出しすぎて死なないように。
「タク、可愛いなあ、本当にお前は可愛い」
少年に囁かれる。
ああ、くそ。
挿れてはいても。
抱かれているのは自分なのだと思い知らされる。
中で襞にまとわりつかれ、扱かれる。
中だけで。
声をあげる。
縛られているから出ないのに絶頂感だけはある
怖い。
怖い。
こんなセックス、怖い。
「可愛いだけなんだ。本当に、可愛いだけなんだ」
少年が優しく囁いてくる。
タクはそれでも動く。
熱いシロップに溺れる中で。
快楽が穴という穴に入り込み、おかしくなりそうなのはタクなのだ。
もがくように動く。
「可愛い・・・可愛い」
少年が囁く。
その声がただ一つの命綱になる。
この中で溶けて消えてしまわないための。
導かれるまま、子宮口まで犯す。
この小さな身体を。
それに今さら胸を痛めながら、快楽を味わい、自己嫌悪に陥る。
だが先まで吸い付かれるそこが気持ち良すぎて、だしたくて、また泣く。
「出して。孕ませて・・・」
少年はタクの縛った紐を解き、タクはそこに注ぐのだ。
決して、子供にはならない精液を。
ベータとオメガでは子供が出来る可能性は低い。
稀だ。
オメガはアルファのものだから。
何より、番のいるオメガとは可能性はゼロだ。
そのアルファだけのものに身体が変わっている。
首筋の消えない噛み跡。
それが何なのか、タクも知ってる。
この少年には番がいるのだ。
その番だけが、本当の快楽と子供を少年に与えられる。
なのに、なんで、オレ?
タクにはわからない。
でも。
求められて。
こんなに求められて。
突き放すことが。
出来ない。
「タク・・・もっと欲しい」
少年は欲しがった。
決して子供になることはない精液を。
その身体の奥に。
何度も何度も。
与えて与えて、泣いてしまう。
これは間違いだ。
この子供に与えるべきものはこんなものじゃないのに。
オムライスや。
ただ、抱きしめて眠ることや、
テレビを見ながらの質問に答えてやることなのに。
「可愛いなぁ・・・タク」
力尽きたタクに、優しい甘い声。
違う。
本当は、お前が。
子供として大人に。
セックスなんかじゃない方法で。
そう言われて、大切にされるべきだったんだよ。
オレもダメだった。
オレもお前に酷い大人でしかない。
タクは自分の罪と、少年の悲しさに、また泣いた。
少年の細い腕が背中に巻きつけられ、抱き締められているのだと思った。
タクは眠ってしまう。
疲れ果てて。
「待ってろよ・・・俺はいつまでも子供じゃない」
そう囁かれる声はどこまでも甘かった。
罪のように。
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