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第31話

 千里眼のアルファは花嫁を待っていた。  長く長く待ったのだ。  まだ5才になった頃から目をつけた。    オメガを失い、新しいオメガを探しにきたセンターまで。  時折現れるアルファに興味津々な幼い他のオメガ達とは違い、恥ずかしがって隠れようとするその姿に欲情した。   あれが自分のオメガだとわかった。  まだ、発情期を迎える前から。  だから。         さっそく自分のものだと教え込んだ。  最初の時はオメガは泣いた。  時間がないから、言葉より先に身体に教えたからだ。  キスから教え、まだ射精すらしらない身体の擬似性器を弄ってやった。  お前はこうされるために生まれてきたんだと教え込んだ。  この自分のためだけに存在するのだと。  泣いて、怯えて。  だからキスで口を塞がねばならなかった。  それでも、オメガだった。   ちゃんとイった。  射精しなくても。  そしてキスで夢心地にもなった。  誰にも言わないのもわかってた。  大人しい、良い子なのだ。  無理やり色々されても、何も言えない、可哀想な大人しい子。  まさに好みだった。  アルファでも年に数回しかセンターを訪れることは許されてない。   その数回を活用した。  番をさがすアルファだけがオメガ求めてここにくることを許される。  他のアルファはもうすぐ発情期になるオメガを求めていたが、千里眼だけは待つと決めた。  あのオメガだけに毎年会いにいく。  そしてカメラの死角の時間を利用して、オメガの味を楽しみ、自分のモノだと教え込んだ。  不定期に巡回していく移動カメラも、固定カメラも、どこでどの時間までなら死角になるのかは【見える】。  千里眼の名は伊達ではないのだ。  まあせれでもさすがにせいぜい30分。  オメガを守るための設備はなかなか千里眼でも難しかった。  それでも教えこむことも、味わうことも、それなりに出来た。  どこへ隠れても見付けて、許さなかった。  センターの階段下の倉庫で、30分たっぷり穴だけを舐めたり、乳首だけを可愛がってやったり。   キスを教え込んだり。  幼いくせに切なく喘ぐのがかわいかった。     舐めてやる。  孔を乳首を、へそを。  つま先を。  許して下さい、オメガはすすり泣く。  怒られる・・怒られる  ダメ・・なの・・にぃ  ああっ  幼い声をあげて、それでもいつも達したのだ。   射精はできなくても。  興奮した。  たまらなかった。  あの生きた人形のようなオメガを可愛がった。  成長する度に嬉しくなった。  感度もどんどんあがり、味も甘く熟れていく。  オメガを得るのに6年も待たねばならなかったが、幼いオメガはオメガで旨かった。  甘くはなくても良さはある。  本来ならば、味わうことも許されないものだ。  あんなに幼いのにもう淫らで。    背徳を楽しんだのは認める。   小さなオメガを弄るのは楽しかった。    小さなつま先をそらして感じる姿はたまらなかったし、小さくても尖る乳首も、射精はしなくても勃起はする性器も、可愛かったのだ。   なめて咥えて楽しんだ。         何より、怯える姿が良かった。  快楽に、アルファに。  いつも震えていた。      誰にも打ち明けられない小心さが、気に入っていた。  そして、諦めて大人しくされるがままになる従順さも。  これは、私のモノだ。  でも、穴に指さえ挿れてない。  それは、その日まで待たねば。  だが、何度も幼い身体を、引き裂いてしまおうかと思ったのも事実だ。  センターからの帰り、抱き殺したベータは一人では足りなかった。      ベータを引き裂き殺しながら、待ったのだ。   待った。  待ったのだ。  この日を。  黒いサラサラした髪が気に入っていた。  俯きがちな大きな黒い瞳と同じ位。  真っ白な肌も、華奢な手足も。    「切るな」と命じてのばさせたあの長い髪。  あの髪に包まれた身体を貫くのだ。  アルファは笑う。  この日が来たのが嬉しくて。  良かった。  教え込んだ通りに自分を選んで。  他のアルファを選んでいたら、間違いなく殺していた。   自分のモノにならないのなら、生きている必要がないからだ。    まあ、その心配はなかった。  あのオメガは言いなりになる。    だから可愛い。    アルファは花嫁を待つ。   儀式など面倒だ。    自分がさっさと連れ出してきたかったのに。  だが、センターは許さなかった。    センターはアルファにたてつける唯一の権威だ。  アルファだけでは。  オメガを育てることが出来ないから。  まあ、センターのしきたりを出し抜いて、オメガを手に入れたのは愉快ではあった。  「何か、あったか?」  アルファは眉を潜めた。  アルファの頭部に沢山ある目が入り口に集中した  部屋に入る前から、【見えている】からだ。  この屋敷全てが透き通るようにアルファには見えている。  オメガと2人きりになるため、追い出すはずの使用人が戻ってきていた。  これから3日はオメガを抱き続ける。  止まることなく。  そこに邪魔は許されない。  有り得ない。  初夜にこんなことをするとは、アルファに殺されても仕方ないのに。  だが、使用人は部屋に駆け込んできた。  ノックさえせず。  殺さなかったのはその必死さのためだった。  何かを命がけで伝えにきたのだ。  「花嫁が。攫われました!!」  使用人の言葉にアルファは吠えた。  逆上した。  それは。  それは。  絶対に許されないことだった。  無数にある全ての目が見開かれ、血走った。  唇がめくりあがる、           薄いオレンジだった肌が真っ赤に染まった。  後頭部にまである目を隠さないように結われた髪が、ちぎれて逆立った。  ぎひぃぃいいいいいいいいいいいい  ぎひいいいぃいいいぃ    その声は切り裂くような声だった。  切れる空気に、使用人は凍りついた。  アルファの怒りに、使用人は気絶した。    アルファはそれは気にしなかった。  自分には【見える】。  逃がさない。    逃がさない。  逃がさない。  アレ、は私のものだ!!!  アルファは屋敷の外へと駆け出した。    

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