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第37話

 アルファのモノにならないオメガ!?  それは有り得ない、いや、あっては成らないものだった。  だってほら、もうひとりのオメガは。  アルファの大きな身体に脚を絡めてしがみついている。  声をあげ、アルファに自分をすべて捧げて、その胸に顔をこすりつけ、背中に回した指で爪を立てて。  「もっとぉ・・・もっとぉしてぇ、」  夢中で強請り、腰を振っている。  突かれる度に、悦び、鳴き、疑似性器から吹き出させる。  残酷な突き上げを、悦ぶのはオメガならではで、中に放って欲しいと孔が絞り蠢いてくる。  その感覚も、双頭のもう一人の側には送られてくる。  双頭はどちら側の感覚も思考も共有しているから。  だから、向こうも受け取っているはずだ。  今、少年と繋がるアルファが今感じるこの怖さも。  「俺を誰も自分のモノには出来ないんたよ。俺はとんなアルファとも楽しめる。番になんかならないんだよ」  少年はそれを示すように、入ったままのアルファの性器を楽しむように自分で動いた。  締め付け、欲しいところを丹念にこすり、ディルドのようにアルファを少年は扱った。  いや、少年には。  アルファはディルドなのだ。  優秀な、この世界の支配者であるアルファが、ディルドなのだ。  アルファは激怒した。  しかし、オメガの肉体の前に、その怒りは性欲に変換されてしまう。  オメガなのだ。  甘くその身体に蜜を蓄え、滴る、オメガなのだ。  アルファは生まれた時から飢えているから・・・。  オメガでしかその飢えを満たせないから・・・。  何故なら、オメガはそのために生まれてきたから。   アルファがそのために作り出したから・・・。  アルファは怒りに髪を逆立てながら、苛烈に少年を責め抜くしかない。  突き上げ、貫き、ゆさふって。    「あはっ・・・最高ぉ・・・たまんねー、いいっいいっ!!」  少年は大声で笑いなから、悦んだ。  そうされたかったのだ。  激怒し、責めぬくその残酷さを、心ゆくまで味わう。  「あはっ!!くふふっ・・・ああっ・・・いいっ、いいっ!!頑張れ!!」  少年は笑って楽しむ  アルファの怒りまで快楽に変えて。  アルファは吠える。    怒りは快楽になる。    燃やされていくのが自分だとしり、咆哮する  その響き渉恐ろしい声にすら少年はわらう。  おかしい。   おかしい。     このオメガはおかしすぎる。    焼かれることを止められない。  屈辱に負け、それでも笑われながら、望む通りに貪られていく。  快楽が。  屈辱だった。  狂ったように突き上げても、それはオメガへの奉仕でしかない。  玩具としての。  オメガを抱いてこんなことにはならない。  なったことはない。  でも、気持ちいい。  気持ちいい。    気持ち、いい・・・。  「きぼぢいい!!!!!」  その叫びはアルファのものだった  「ぎぽぢいい!!!!」  屈辱よりも快楽が勝った。  嗤われながら、腰を動かし、望まれるがままにあたえるしかない。  隣りでは花嫁を貪り、充足させているのに。    花嫁を攻め抜く快感。  殺して喰いたいこの甘さ。  少年に燃やされて、喰らわれるこの快感  殺される恐怖が快楽になる  ふたつの脳がふたつの感覚を共有し、だからこそ、双頭のアルファは身体を震わせ、その快感に焼かれた。  殺しながら殺される。     その快感を知って。  アルファのふたつの脳は何かを焼き切った。   今までしることのない絶頂だった。  花嫁に少年に。  たっぷりとその中に注がれた。  「ああ、いい子だ」  少年は笑い  「頂戴・いいっ、」  花嫁は欲しがった。  そして、少年は可愛いディルドにささやいた。  「俺の可愛い玩具、ほら、俺とこの子を奪いに来たやつがいるよ・・・ほら、そこに」  少年だけは、それでも冷静だったから気づいていた。  それがきたことに。  予定通りた。    少年は自分のフェロモンを消した。  残り香はあるが問題はない。  それはバイクを降りた。  それはその目で追ってきたのだ。  その目は追跡することもできる。  オメガが奪われた場所からその痕跡を視て、ここまで追ってきたのだ。  ただ、思いのほか、いくつもの偽装が施され、時間がかかってしまったのだ。    それは風にとばされて、それの足元にまでとんできたモノを広いあげた。  純白だったはずの、ベール。  花嫁のベールを。  それの花嫁が纏っていたはずのベール。  そのベールを纏ったまま、抱くはずだった花嫁。  その花嫁は。    自分ではないアルファの身体の下で細かく痙攣していた。   涎をたらし、だらしなく唇をひらいて。  その腹に自分ではない種をうけいれて。  匂いが。    匂いが変わっていた。  番にされていた。    【私の】【オメガ】が!!!!!  アルファは吠えた。   グォォォオオ  クギイイイイイ  獣の声で。  どんなに支配者である、上位の知的生物であるように見せていても、隠しきれないアルファの本性。  純粋な。  獣。  大切な交配相手を奪われた雄。  それがそこにいた。  怒りに震えて。  「ほら、来たぜ。お怒りなヤツが。俺とこの子が欲しければ・・・殺し合え」   少年は笑った。  予定通りだった。  【千里眼】のアルファが自分のオメガを奪いかえしにやってきた    

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