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第38話

 「【双頭】それは、私のオメガだ」  千里眼のアルファは低く唸るような声で言った。  人気のない港にその声は大きさ以上に響いた。     普段は薄いオレンジの肌が赤味をおびた鮮やかな色に変わっていた。  頭に30ある紫の目は、すべて見開かれ、ギラギラと輝いていた。  「それ、は、【私】の【花嫁】だ!!」  千里眼は吠えた。  空気が震えるほどに。  身体の筋肉という筋肉が膨れあがり、人間のように 千里眼が着こなしていたシャツがはじけて飛び散る。  人間ぶっていた化け物が、その正体を表した瞬間だった。  素手で人間を引き裂き、千切り、人間を蹂躙して支配した化け物がそこにいた。  だが化け物が怒りをぶつける相手も化け物だった。  「・・・・・・可愛いかったぞ」  「何度も何度もイってな」  「自分から欲しがって」  「今でも締め付けてきて離さない」  双頭のアルファ達は笑った。  他人のオメガを狙うことで悪名高いだけあって、そんな場面でも平然としている。  花嫁。  いや、もう花嫁ではない。  ドレスは奪われ、精液にまみれてドロドロになった少女のようなオメガ。  そのオメガをつながったまま、双頭のアルファはゆすぶってみせた。  「いいっ、いいっ、イクぅ」  オメガは泣いて悦んだ。  何も見えてない。    ただ快楽に溺れている。  「可愛い」  「キュンキュン締めて」  「我々のオメガだ」  「我々の」  「奥の奥まで」  「使ってやった」  双頭達は笑った。  双頭達は少女のようなオメガと、少年の中に同時に放った。  見せつけるように。  【少女】は身体を痙攣させてイく。    少年も笑いながらイった。  少年は。  この始まった茶番を楽しんでいた。  楽しくて、楽しくて仕方ないようだった。  千里眼が怒りに震えながら近づいてくる。  双頭達は仕方なく、オメガの身体から離れる。  挿入したままでは戦えないからだ。  「ああ・・・ぬかないでぇ」  少女は泣き、  少年は笑う。  千里眼は怒りにふるえ。  双頭達も、性欲ではない興奮に包まれていた。  アルファは。    理由があれば殺しあう。  少年の狙い通りだった。  双頭は一人で二人。  千里眼と合わせて3人。  これで3人のアルファを殺せる。  少年はよろこんだ。  これから始まるものが楽しくて、自分の孔に指を挿れ、オナニーしながら見守ることにした。

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